法定通貨とは?暗号資産(仮想通貨)との違いは?

法定通貨
2020-03-18 更新

法定通貨とは?暗号資産(仮想通貨)との違いは?

暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンをはじめとする新しい概念と技術によって、法定通貨のあり方が問われています。このような話の中で「そもそも法定通貨って何?」「法定通貨と暗号資産の違いって具体的には何なの?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、法定通貨の定義や法的な根拠、暗号資産との違いについて詳しく解説していきます。そして最後に、国際金融システムにおいて重要なトピックとなっている「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)についても触れていきます。

「法定通貨」とは?そもそもの定義は?

法定通貨とは、日本円や米ドルなどのように、法律によって定められた通貨のことです。ソブリン通貨(sovereign currencies)やフィアット(fiat)と呼ばれることもあります。

法定通貨は、国家によって価値が保証されているため、経済的に安定している国の法定通貨は国際的に価値が高いことが多いです(日本円や米ドルなど)。一方で、経済や政情が不安定な国の法定通貨は、国際的な価値が低くなる傾向にあります(ベネズエラのボリバルなど)。

どの法律により「法定通貨」が定められているか

法定通貨の説明としては、「法律によって強制通用力を付与された銀行券(お札)や硬貨(貨幣)」とした方がより詳しいといえます。強制通用力とは、額面価格で最終決済手段として認められる効力のことです。法定通貨は強制通用力を持っているため、受け取る相手は拒否できません。また、このような法定通貨は「現金通貨」と呼ばれることもあります。

「日本銀行法」と「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」

それでは、法定通貨がどの法律によって強制通用力を付与されているのかを見ていきましょう。実は、日本銀行券と硬貨は、発行主体も根拠となる法律も違います。

日本銀行券は「独立行政法人国立印刷局」が印刷して「日本銀行」が発行している一方で、硬貨は「独立行政法人造幣局」が製造して「日本政府」が発行しています。そして、日本銀行券については「日本銀行法」の第46条2項に「法貨として無制限に通用する」と記されている一方、硬貨については「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第7条に規定されているのです。

給与の支払いと税金の納付

法定通貨は当然ながら、給与の支払いや税金の納付にも用いられます。給与や納税も法律に基づいており、給与の支払いは「労働基準法」第24条1項・2項に、納税に関しては「国税通則法」の第34条によって規定されているため、基本的に法定通貨で支払わなければなりません。

法定通貨と暗号資産(仮想通貨)の違いは?

それでは、法定通貨と暗号資産の違いについて解説していきましょう。

物理的な実体は存在せず、データとしてネット上でやり取りされる

暗号資産は、価値保存の媒体および手段として、インターネット上でやり取りできる財産的価値であり電子データです。物理的な実体は存在しません。紙幣や硬貨の送金に比べると、データである暗号資産はインターネットを介して素早く安価に、世界中に送付できる点が大きな特徴だといえるでしょう(電子マネーと暗号資産の違いは後述)。

暗号技術やブロックチェーン技術によりデータの真正性を確保

暗号資産は、暗号技術などによって、取引データや残高の偽造、二重支払いといった不正行為が現実的には行えない仕組みになっています。改ざんやなりすまし行為のリスクが、技術的にほぼ排除されているのです。

発行主体や中心的な管理者が存在しない

暗号資産の大きな特徴として、法定通貨のように発行主体が存在しない点が挙げられます。ほとんどの暗号資産は、政府や企業、組織といった中央集権的な発行者や管理者が存在しません。例えば、代表的な暗号資産であるビットコインはマイニング(採掘)という仕組みによって、新しいビットコインが自律的に生成されています。

需要と供給などで変動する交換レートを基に取引

暗号資産の価値(価格)は、特定の誰かによって決定されている訳はありません。市場の流通量や需要と供給のバランスなど、様々な要因によって通貨同士の交換レートが決定され、取引されているのです。なお、ビットコインは発行上限数量が2,100万BTCに決定されているため、供給量は決まっています(BTCはビットコインの単位)。

オープンソースのため、フォーク(分岐)した上で独自の暗号資産を作成できる

暗号資産の基盤となるブロックチェーン技術は、基本的にオープンソースソフトウェアとして開発されています。ソースコードが世界に公開されているため、技術さえあれば誰でもフォーク(分岐)して、独自の暗号資産を開発できるのです。

実際に、ビットコインのソースコードをフォークして、これまでに多くの暗号資産が誕生してきました。ただし、状況次第ではフォークによって開発者や利用者コミュニティが分裂することも少なくありません。具体的な事例としては、2017年8月にビットコインからビットコインキャッシュという暗号資産が誕生し、コミュニティも分裂したことがあります。

またフォークとは異なりますが、イーサリアム上では独自の規格(ERC-20)に沿って、オリジナルの暗号資産(トークン)を作成可能です。

電子マネーと暗号資産(仮想通貨)の違い

電子マネーは、電子的なお金という点では暗号資産と似ていますが、企業などの管理者(発行主体)が発行・管理・運用を行っている点で、暗号資産とは異なります。電子マネーの価値は、発行者が法定通貨との交換レートを決定することで定まるものであり、あくまでも法定通貨の代替的な存在という位置づけなのです。

また、日本で電子マネーを発行する場合は、「資金決済法」に基づかなければなりません(電子マネーは法律上「前払式支払手段」と呼ばれる)。電子マネーの種類にもよりますが、なかには有効期限が設定されているブランドもあり、長期的な価値保存手段として位置づけられている訳ではありません。

その他にも、管理者(発行者)によって、電子マネーを利用できる店舗(場所)や地域は限定されています。ブランドによっては、対象外の店舗(場所)・地域では利用できません。もちろん、国内での支払手段としては、暗号資産の方が電子マネーよりも利用範囲が狭いのが現状です(2020年1月現在)。

ただし、これは電子マネーのように特定の管理者によって利用を制限されているのではなく、暗号資産の価格の変動幅(ボラティリティ)が大きい点や導入時のハードルが高い現状などが要因となっています。

なお、暗号資産のボラティリティが大きいというリスクを克服し、決済手段として活用する試みとして、次に紹介するステーブルコインが世界各国で開発されています。

ステーブルコインの特徴と生まれた理由

ステーブルコインは、法定通貨や金・ダイヤモンドなどの現物資産と連動し、価格が一定に保たれるように設計された暗号資産の一種です。現物資産で裏付け(ペッグ)された通貨であるため、ペッグ通貨とも表現されます(ペッグ/pegは「釘で固定する」の意)。

暗号資産はボラティリティが大きいため、個人・法人問わず決済手段としての利用を敬遠するケースが少なくありません。この課題を解決するために、価格が安定的(=ステーブル)な暗号資産としてステーブルコインが考案されたのです。例えば、米ドルにペッグされたステーブルコイン「Tether(テザー。通貨単位: USDT)」の場合は、1ドル=1USDTのレートとなっており、常に1USDTは1ドルとして換金できます。

なお、価格を安定させる方法としては、「法定通貨担保型」「暗号資産担保型」「無担保型(アルゴリズム)」の3種類に分類可能です。法定通貨担保型は法定通貨を、暗号資産担保型は暗号資産を担保とすることで、価格の安定化を図ります。一方で無担保型は、特定の担保を設けずにアルゴリズム(方法)を工夫することで、価格を安定化させるものです。

中央銀行が発行するデジタル版法定通貨、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)

2019年以降、中央銀行が発行するデジタル形式の法定通貨「中央銀行デジタル通貨」(CBDC:Central Bank Digital Currency)が注目を集めています。

その背景としては、2019年6月にフェイスブックが発表したグローバル・ステーブルコイン「Libra」(リブラ)への危機感があるといえるでしょう。リブラ以前にもCBDCは研究されていましたが、リブラを契機として、各国がCBDCの必要性を改めて認識したのです。

IBMとシンクタンク「公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)」が2019年10月に発表した報告書では、5年以内に中央銀行がCBDCを発行すると予測されています。世界ではCBDCの発行を予感させる動きが見られており、例えば中国は「中央銀行数字貨幣」(DCEP:Digital Currency Electronic Payments)と呼ばれるCBDCを世界に先駆けて開発中とされています。

さらに、国際機関の要人も相次いでCBDCを肯定的に捉える発言をしています。まず、「国際決済銀行」(BIS)総支配人を務めるアグスティン・カルステンス氏は2019年12月、CBDCがより効率的で包括的な金融システムの構築に役立つ可能性を示唆しています。さらに同月、「欧州中央銀行」(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、各国の中央銀行と連携して、EU圏内でのCBDCの実現可能性を研究する専門チーム(タスクフォース)をECB内に設立すると発言しました。

そして、「国際通貨基金」(IMF)CEOのクリスタリーナ・ゲオルギエヴァ氏は、CBDCの導入について、中国などの大国が法定通貨のデジタル化を推進する状況の中、各国が遅れを取るリスクがないようにサポートすると表明しています。

2020年1月現在、CBDCは、まさに国際金融システムにおける重要な議題のひとつとなっています。IBMらの報告書でも指摘されているように、近い将来CBDCを発行する国が出てくる可能性は高いといえるでしょう。

法定通貨、暗号資産(仮想通貨)、中央銀行デジタル通貨まとめ

法定通貨の定義をはじめとして、暗号資産との違いを解説してきました。総じて、実体がなく電子データである点や発行主体が存在しない点、技術的に不正な行為が難しい点、技術さえあれば独自の暗号資産を作成できる点などが、法定通貨と暗号資産の大きな違いだといえるでしょう。暗号資産は、発行主体が存在する電子マネーとも異なります。

暗号資産という新しい概念・技術の登場や、その技術を活用したフェイスブックのグローバル・ステーブルコインLibraの影響によって、国家がデジタル法定通貨(CBDC)を発行する可能性が出てきているのです。すでに中国など一部の国は研究開発を進めており、将来的には法定通貨のあり方が変わってくるかもしれません。

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