ASIC、マイニングとは?詳細を解説

ASICマイニング
2020-03-18 更新

ASIC、マイニングとは?詳細を解説

ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を支える技術のひとつに、マイニング(採掘)を高速に実行するASICというICチップがあります。暗号資産取引を支える裏方のような存在にあたり、関連動向が暗号資産の価格に影響を与える可能性がありえます。そこでASICがどのようなものか、またマイニングとの関係について解説していきましょう。

ASICとは?どんなものなのか?

「ASIC」は、「Application Specific Integrated Circuit」の略称です。日本語に訳せば「特定用途向け集積回路」という意味になり、何らかの用途に特化した特殊なICチップのことを指します。ちなみに「エーシック」と発音されるのが一般的です。

暗号資産(仮想通貨)の世界でいうASICは、ビットコインなどのマイニング(採掘)におけるコンセンサスアルゴリズム(ハッシュ関数の実行アルゴリズム)を回路やICチップの形にまとめたものを指し、高速かつ低消費電力によるマイニング処理が期待できるとされています。

ただ低消費電力が特徴とはいえ、マイニングに要する電気料金などの運用コストは依然重いのが現実です。そのため、さらなる高速計算・低消費電力・小型化を実現できるASICが求められています。

またASICは、通常は1種類のハッシュ関数の実行アルゴリズムのみに対応します。例えば、ビットコインのマイニング用に設計されたASICを使って、イーサリアムのマイニングを行なうことは非常に困難です。この違いは、ビットコインが実行アルゴリズムとして「SHA-256」を採用しており、イーサリアムは「Ethash」(イーサハッシュ)を採用していることに由来しています。

FPGA(Field Programmable Gate Array)

暗号資産のマイニングでは、ASICとは別に、FPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれるタイプのICチップを用いる例もあります。FPGAの場合は、性能がASICより低い傾向にあるものの、対応する実行アルゴリズムを後から変更可能(FPGAに関する専門知識が必須)というメリットがあります。暗号資産のアップグレードやハードフォーク(分岐)によってハッシュ関数の実行アルゴリズムが変更された場合、また値動き次第でマイニングを行う暗号資産を変えたい場合などにも対応できるものとして、FPGAを支持する声もあります。

マイニングリグ、ASICマイナーとは?

ASICを搭載し、マイニング専用コンピューターとして設計された専用機器は、「マイニングリグ」や「ASICマイナー」と呼ばれています。これらはASIC以外にもネットワーク機能などを内蔵しており、一見した限りでは変わった形状のデスクトップパソコンのように見えます。多くの場合OSとしてLinux(リナックス)を利用しており、複数台のASICマイナーを集中管理しやすくしています。

また、複数台のASICマイナーをまとめて動作・制御している施設やエリアを「マイニングファーム」(マイニング工場)と呼びます。マイニングファームには、大きな電力を(安価に)安定供給できる電力網(国・地域)、インターネットに安定的に接続できるネットワーク網、ASICマイナーの故障といったハードウェア関連やネットワーク関連のトラブルに対応できる人材などの条件が必要です。さらに国によっては、暗号資産(仮想通貨)取引やマイニングに関する法規制も重要な要素となります。

暗号資産取引を行う上では、ASICやASICマイナーの性能だけでなく、これら条件を満たした環境においてマイニングファームが増加しているかどうかも注目するといいでしょう。

ビットコインマイニングの場合、ASICは「ハッシュ関数」を高速に計算

ASICの特徴・性能を把握するには、ビットコインのマイニングではどのような作業が行われているのかという理解も欠かせません。

ビットコインはネットワーク上の電子的存在であり、中央集権的な管理者・運営者が存在しません。取引の際は、その内容が正しいかどうかを検証し、正しい場合はその結果をブロックチェーンに記録しています。この作業過程が、マイニングと呼ばれています。

またマイニングでは、あらかじめ分かっている出力値(ハッシュ値)を求めるために、様々な入力値(ナンスと呼ばれるデータ)を変更しながらハッシュ関数という計算式に繰り返しあてはめ、適切なナンスを探し出すという計算が実行されます。ASICは、これら計算の高速実行に特化した存在なのです。

なおマイニングにかかわる計算量は非常に膨大で、ビットコインネットワーク全体では1秒あたり約1垓800京回行なわれています(2020年1月6日現在)。

★参考コラム: ビットコインを生み出すマイニング(採掘)とは?仕組みや方法を紹介

マイニング性能を示す「ハッシュレート」(ハッシュパワー)

そして、ハッシュ関数による計算(ハッシュ計算)を1秒あたりに何回行なえるかを示す単位としては、「ハッシュレート」(ハッシュパワーとも呼ぶ)が利用されています。例えば「1Hash/s」(1H/s)なら、1秒間あたり1回のハッシュ計算を行えることを示します。ASICが高性能であるほど、ハッシュレートも高くなります。

以前は、この計算に一般的なパソコンのCPU・GPUを利用することでマイニングを行っていましたが、ハッシュ関数の実行アルゴリズムによる処理に特化したASICの登場により、CPU・GPUのマイニング利用は非現実的なものとなっています。

近年では、ASICの高性能化によりさらにハッシュレートが大きくなっており、以下のように「TH(テラハッシュ)」や「PH(ペタハッシュ)」といった単位も利用されています。先に挙げた「1秒あたり約1垓800京回」をハッシュレートで表すと、「1億800万TH/s」になります。

マイニング性能を示す「ハッシュレート」(ハッシュパワー)の単位
単位 概要
KH/s キロハッシュ/秒。1秒間に1,000回のハッシュ計算
MH/s メガハッシュ/秒。1秒間に100万回のハッシュ計算
GH/s ギガハッシュ/秒。1秒間に10億回のハッシュ計算
TH/s テラハッシュ/秒。1秒間に1兆回のハッシュ計算
PH/s ペタハッシュ/秒。1秒間に1,000兆回のハッシュ計算

ASIC、ビットコインマイニングの注目点・最新動向は?

再生可能エネルギーの活用

マイニングを行うマイナー(採掘者)は、新たに生成した暗号資産(仮想通貨)や採掘手数料を利益として得られます。しかし、暗号資産の価格変動次第では利益が出にくく、マイニングにかかわる運用コストをまかないきれない場合がありえます。

特にASICマイナーの電気使用量は非常に多く、マイニングファームを展開する事業者にとって大きな経済的負担となっています。そのため、水力や太陽光などの再生可能エネルギー発電により電力を得ることで、運用コストの削減を図る事業者が増えています。

世界のハッシュパワーの約7割が中国に集中

ASICに関する注目点のひとつには、一部の企業・地域・国家にハッシュパワーが集中していることへの懸念があります。資金力を備える企業が高性能・高額なASICマイナーを大量導入することでマイニングにおける寡占状況が進行しており、研究報告によっては世界のハッシュパワーの約7割が中国に集中していると報じられています。

中国国内に限った場合は、水力発電が盛んな四川省にマイニングファームが集中しており、雨季・乾季といった気候の影響を受けているとされます。雨期(4~10月)には水資源が豊富になるため水力発電による電気料金が下がり、乾期は電気料金が上昇すると見られています。

暗号資産取引では、中国のマイニング動向を確認する必要がある

2019年10月、中国の習近平国家主席が、イノベーションの中核としてブロックチェーン技術を推進するよう指示しました。

中国ではマイニングの禁止が長らく検討されていたのですが、習近平主席がブロックチェーン技術推進を示した後、廃止検討リストから撤廃されることも明らかになっています。またある中国要人は、ブロックチェーンに絡む産業を支援するため、四川省の安価な水力発電を活用すべきと提言しています。

全世界のハッシュパワーの約7割を担う中国の動向は、暗号資産取引において重要な情報になる可能性が高いといえるでしょう。

暗号資産プロジェクトの動向にも注目

ハッシュパワーが一部地域に集中している傾向については、様々な暗号資産プロジェクトが懸念を示している点も覚えておくべきでしょう。

著名な関連動向としては、イーサリアムがハッシュ関数の実行アルゴリズムを「ProgPoW」に変更する方針を示し、議論されているという状況です。これは、一般的なパソコンのCPU・GPUでもある程度マイニングしやすくすることで、ハッシュパワーを分散化させることを意識しています。

ASIC情報まとめ

暗号資産(仮想通貨)の世界でいうASICは、ビットコインなどのマイニング(採掘)におけるコンセンサスアルゴリズム(ハッシュ関数の実行アルゴリズム)を回路やICチップの形にまとめたものを指します。

高速かつ低消費電力によるマイニング処理が期待できるものの、電気料金などの運用コストは依然重く、さらなる高速計算・低消費電力・小型化を実現するASICが求められています。

またこれら問題を解決するため、マイニングファームを展開する事業者によっては、水力や太陽光発電などの再生可能エネルギーから電力を得ることで、運用コストの削減を図りつつあります。

ASIC関連の話題としては、一部地域へのハッシュパワー集中に対する懸念も見逃せません。高性能・高額なASICマイナーを大量導入する企業によりマイニングにおける寡占状況が進行しており、研究報告によっては世界のハッシュパワーの約7割が中国に集中していると報じられています。

特に、習近平主席がブロックチェーン技術推進の意向を示して以降、四川省の安価な水力発電を活用すべきという旨を発言する要人も出てきています。

ハッシュパワーの集中については、イーサリアムがハッシュ関数の実行アルゴリズム変更という具体的な方針を示していることもあり、暗号資産取引の面でも注目しておくといいでしょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン