仮想通貨におけるイーサリアムについて
仮想通貨といえばビットコインが思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、イーサリアムもその仮想通貨の1つです。2018年6月現在、イーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額2位の規模を誇ります。ここでは、イーサリアムとは何か、その特徴について解説していきます。
イーサリアムとは?
イーサリアムはビットコインに代表される仮想通貨のうちの1つです。
イーサリアムはヴィタリック・ブテリンという人物によって開発されました。
ヴィタリック・ブテリンは17歳の時(2011年)に父親からビットコインについて教えられました。最初は、ビットコインを「ただの数字の羅列」と、気にとめませんでしたが、その後ビットコインについて耳にする機会があり、本格的にビットコインについて調べ始めます。
その2年後、大学生だったヴィタリック・ブテリンは、ビットコインについて週に30時間も学習などに費やしている事に気づき、もっと学びたいと思い大学を中退しました。
大学を中退した彼は、ブロックチェーンの技術が世界中でどのように使われているのか見るため、5ヶ月間に渡る旅に出ました。
旅を続ける中で、物の売買や個人認証、クラウドファンディングなど、さまざまな場面でブロックチェーンが使われていることを目にしました。
そこで彼は、さまざまな用途にブロックチェーンを使うには、現在の技術では、不十分だと気づきました。特定の用途だけに使われるブロックチェーンしかなかった現状に対し、汎用的なブロックチェーンを作ればよいのではないかと考えたのです。
その気付きがイーサリアムの核となるアイデアにつながります。そして2013年、彼が19歳の時にイーサリアムを考案します。
翌年の2014年7月にはイーサリアムプロジェクトの資金調達のためにイーサリアムが販売されました。資金調達はビットコインで行われ、約16億円集めることに成功します。翌年の7月にイーサリアムプロジェクトがスタートしました。
ここからはそんなイーサリアムの概要と特徴について紹介していきます。
イーサリアムの概要
イーサリアムは従来のブロックチェーンのように特定の目的のために設計されたものではなく、さまざまな用途で使えるように設計されたブロックチェーンのプラットフォームです。用途に応じたプログラミングを行い、イーサリアムのブロックチェーン上にアップロードするだけで、独自のブロックチェーンシステムが利用可能になります。
そしてイーサリアムには決済だけではなく、スマートコントラクトという機能を実装しており、このスマートコントラクトとイーサリアムのブロックチェーンの組み合わせが、イーサリアムの最大の特徴です。
イーサリアムの特徴
イーサリアムの主な特徴は、以下の通りです。
- 独自の仮想通貨を設計して発行できる
- 統一規格ERC20の導入によってトークン管理の一元化が可能
- 人の仲介を必要としない「スマートコントラクト」機能
それぞれの特徴について詳しく説明します。
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独自の仮想通貨を設計して発行できる
さまざまな用途に使えるイーサリアムプラットフォームは、ブロックチェーン上で何を実行するかを自由に設計することが可能です。
イーサリアムでは独自のトークン(仮想通貨)を発行できます。トークンの価格は自由に設定でき、価格を固定することも流通量に応じて変えることも可能です。この機能を活用した資金調達法がICO(イニシャルコインオファリング)と呼ばれています。 -
統一規格ERC20導入によってトークン管理の一元化が可能
イーサリアムを利用して発行されるトークンは、ERC20という統一規格に準拠しています。今までに発行されたICOのトークンには統一の規格が無く、トークンごとに保管しておくウォレットを用意する必要がありました。しかしERC20はこれらのバラバラな規格を統一して、必要最低限の機能やルールを作成し、ひとつのウォレットですべてのトークンを管理できることを可能にしました。
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人の仲介を必要としない「スマートコントラクト」機能
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で人を介さずに契約を自動的に実行してくれる機能、決済までの時間短縮、不正防止などができるシステムです。
専用通貨
イーサリアムはブロックチェーンのプラットフォームで、本来はビットコインと異なり仮想通貨ではありません。イーサリアム上には、「ETH(イーサ)」と呼ばれる仮想通貨があります。
ETH(イーサ)は、イーサリアムのプラットフォーム上で作られたアプリケーションやネットワークで使用されます。
どんなときに使われるのか
ETH(イーサ)は、イーサリアムブロックチェーン上で作成されたアプリを稼働する際に使用されます。また通貨としての機能もあるので、法定通貨、仮想通貨との交換や送金、決済などにも使用されています。
イーサリアムとビットコインの違い
イーサリアムとビットコインの主な違い
ビットコインは、最初から「決済」を目的として設計、開発されています。それに対してイーサリアムは、ブロックチェーンをあらゆる目的で利用できるようなプラットフォームとして設計、開発されているのが大きな違いです。
機能・役割の違い
ビットコインの代表的な役割は、決済の利用です。オンライン上の取引や実店舗での取引、送金、出金などに使用され、日本でも実店舗でビットコインでの決済が可能になったことがニュースに取り上げられるなど、ビットコイン決済についてメディアで目に触れる機会も多くなってきました。
イーサリアムは決済だけではなく、あらゆる目的でブロックチェーンを活用できるために設計、開発されたプラットフォームです。このイーサリアムのプラットフォームを活用するために実装されたのが「スマートコントラクト」という技術で、この「スマートコントラクト」によってあらゆる場面でブロックチェーンの技術を活用できるようになりました。
購入できる場所
イーサリアムは、DMM Bitcoinを含め、国内外にある多くの仮想通貨交換事業者で売買が可能です。
スマートコントラクトとは?
イーサリアムとの関係性について(1)
イーサリアムの核である「スマートコントラクト」について解説していきます。
スマートコントラクト技術は、1990年に情報工学を専門にし、ビットコインに詳しいNick Szabo(ニックス・スザボ)氏によって提唱されました。
スマートコントラクトを直訳すると、「賢い契約」となります。つまりコントラクト(契約)をスマート(賢く)に実行できる考え方です。
この考え方を実用化すると、「契約の自動化」となり、契約の簡素化、高速化を行うことが可能です。
このスマートコントラクトの発想の起源は、「自動販売機」です。
自動販売機は、「お金を入れる」「商品のボタンを押す」と2つの条件を満たすと商品が出てきます。
この「お金を入れる」「商品のボタンを押す」が契約にあたります。この契約が実行されると、自動的に契約が実行され、自動販売機から商品が出ます。
この一連の流れでは第三者を介さずに、個人間の契約が自動的に実行されています。
このように、人や企業などの管理者を介さない自動で契約を実行する考え方が、「スマートコントラクト」です。この技術を活用すれば、人が行ってきた契約や取引を、改ざん不可能な状態にし、かつ自動で行うことができます。
補足をすると、この取引には「契約書」が存在していません。このように「コントラクト(契約)」とは、書面による契約だけではなく取引行動全般が対象となります。
このスマートコントラクトは、ビジネスや組織のあり方を根本的に変えうるポテンシャルを持っています。
ここからは、このスマートコントラクトがイーサリアムとどのような関係なのか紹介します。
イーサリアムとの関係性について(2)
スマートコントラクトをブロックチェーン上で行うことによって、スマートコントラクトの特徴そのままに、ネットワーク上でユーザー同士が直接取引できるようになります。
スマートコントラクトの大きなメリットは2つあります。
一つ目は、データの改ざんを防げることです。ブロックチェーンはそのネットワークに参加しているユーザーすべてのコンピュータが相互につながっているので、どこかで一部不正があったとしても、他の端末と照らし合わせれば不正を見つけることができます。
二つ目は、あらかじめプログラムされている契約の実行条件を満たせば、自動的に契約が実行される点です。先ほど述べたスマートコントラクトの特性である契約の自動化により、契約の簡素化、高速化を実現します。
これらのメリットから、ユーザー同士が第三者を介さずに安全に手間をかけることなく、直接取引することが可能になります。
実際2017年にアメリカで、イーサリアムのブロックチェーンを使った不動産取引が行われました。そして同時期にスウェーデン政府がブロックチェーン上で土地や不動産の登記の受付を開始しました。
第三者による不正登記、不正取引などを防ぐことができることから、登記や契約、情報共有が重要な不動産の取り扱いと、記録の改ざんが出来ないブロックチェーンの相性は非常に良いとされています。
このようにイーサリアムの核はスマートコントラクトとなっています。
イーサリアムの現在価格と今後予想
現在の価格と今後の予想について
2018年6月現在、イーサリアムの時価総額は約7兆4,400億円を超えています。2017年12月時点では、時価総額、約4兆6,900億円だったので、半年で約2兆7,000億円も値上がっています。
イーサリアムの今後について、3つのポジティブな要因があります。
- 送金スピードの改善に新技術「プラズマ(Plasma)」が実装予定
- 異なるブロックチェーン同士をつなげて相互運用を可能にするプロジェクトが行われている
- マイクロソフトやJPモルガンなどがEEA(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)を設立
それぞれについて説明します。
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送金スピードの改善に新技術「プラズマ(Plasma)」が実装予定
プラズマは元々、イーサリアムのスケーラビリティ問題(機能拡張性の乏しさ)を解決するための技術ですが、1秒あたりに処理できる量を増やすこともできます。
またプラズマを利用して、分散型の仮想通貨交換事業者を作れば、仮想通貨交換事業者を中央集権化させることなく、ユーザー個人がお金を留めとくことが可能になります。これによりハッキングのリスクを減らすことができます。 -
異なるブロックチェーン同士をつなげて相互運用を可能にするプロジェクトが行われている
ビットコインのブロックチェーンやイーサリアムのブロックチェーンなど異なるブロックチェーンの相互運用が可能になれば、より一層ブロックチェーンの技術が広まりやすくなるでしょう。
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マイクロソフトやJPモルガンなどがEEA(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)を設立
イーサリアムの将来的な企業間取引への応用を目指し、マイクロソフトやJPモルガンなどが設立しました。EEAには約100社加盟しており、日本企業も三菱UFJグループやトヨタ自動車のアメリカ子会社なども加わっています。
まとめ
ウォール街のアナリスト、Ronnie Moas(ロニー・モアス氏)が、「仮想通貨市場は今後、2028年までに 220兆円にまで急激に成長する。」という予測を立てました。
仮想通貨市場が拡大することによって、イーサリアムを含む仮想通貨が利用されて仮想通貨市場が拡大すれば、時価総額2位のイーサリアムも大きく価格が上がる可能性があります。イーサリアムは成長の可能性を十分に秘めているといえます。
DMM Bitcoinでは、現物・レバレッジ取引の双方でETHを取り扱っています。今回の記事でイーサリアムに興味を持たれた方は、ぜひご登録ください。
イーサリアムについて詳しく知りたい方は「イーサリアムの歴史を解説!アップグレードやハードフォークの経緯とは?」もご参照ください。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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