ビットコインキャッシュとは?特徴・詳細を徹底解説

ビットコインキャッシュとは
2020-10-14 更新

ビットコインキャッシュ(BCH)とは2017年8月1日にビットコインから分裂(ハードフォーク)した暗号資産(仮想通貨)で、ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するために生まれました。ビットコインキャッシュは過去を振り返ると誕生時やその後のハードフォーク時など開発者内での意見の食い違い、対立がしばしば見受けられたプロジェクトでもあります。そのため、ビットコインキャッシュに関してはしっかりと情報を収集し、正しくリスク管理をした上で取引を行う必要があります。今回は、そのビットコインキャッシュの特徴や詳細を解説していきます。

ビットコインキャッシュの「Segwit」「Big Block」とは

ビットコインキャッシュは2017年8月、ビットコイン初のハードフォークにより誕生した暗号資産です。このハードフォークの背景には、ビットコインの「スケーラビリティ問題」の存在があります。スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンで1度に処理できるデータの量が決まっているために、トランザクションデータが多くなればなるほど、処理できないデータが増えてしまい、送付の遅延が発生してしまうというものです。

この問題解決のため、ビットコインのコミュニティにおいて「Segwit」(セグウィット)と「Big Block」(ビッグブロック)の2通りの方法が提案されました。Segwitとは、トランザクションデータの署名部分を別の領域に格納することで、1つのブロックの中に詰め込めるトランザクションデータの量を増やせるという技術です。

一方Big Blockは、ブロック1つあたりのサイズを大きくすることで1度に格納できるデータ量を多くし、処理能力を高めることを狙ったものです。

ビットコインのコミュニティは当初Segwitで対処しようとしていましたが、ブロックサイズを大きくするBig Blockによる対応をうたうグループの声が大きくなっていきました。そして最終的には、スケーラビリティ問題への対応方法に関する意見の相違でハードフォークが実施されることになったのです。

そしてこのBig Blockを採用することで生まれたのがビットコインキャッシュです。

ビットコインキャッシュとビットコインは何が違う?

ビットコインキャッシュはビットコインと同様にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しています。発行上限が2100万、4年に一度の半減期があり、マイニング報酬が発生するという点も共通しています。

一方でビットコインと異なる点として、前述の通り、スケーラビリティ問題に対応するためにブロックサイズが大きいことが挙げられます。ビットコインキャッシュは、ブロックを大きくすることで、全ての取引をオンチェーン(ブロックチェーン内)で記録する思想を持っています。一つのブロックチェーン上で取引を記録することは透明性を高めることが可能です。2020年8月時点ではビットコインのブロックサイズが1MBである一方で、ビットコインキャッシュの1ブロックの大きさは32MBまで引き上げられています。ただ、ブロックサイズが大きいことは一度に多くの取引を処理できるというメリットがある一方で、フルノード(すべての取引データを保有する人)を立てにくいというデメリットも抱えていることも事実です。

現在のビットコインキャッシュは、イーサリアムなどのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)同様に、スマートコントラクトの機能を備えている点も、ビットコインとの大きな違いです。

ビットコインキャッシュの特徴をまとめると、「ブロックサイズの拡大(オンチェーン思想)」、「スマートコントラクト機能を備える」という2点が挙げられるでしょう。

ビットコインキャッシュは、定期的にハードフォークを繰り返している

ビットコインキャッシュは、これまでに何度かハードフォークを繰り返すことで、利便性や機能を向上させています。しかも毎年5月15日と11月15日の2回実施を予定しているため、ビットコインキャッシュ公式サイトは、ハードフォークではなく「定期プロトコルアップグレード」と呼んでいます。

ハードフォークは、特にパブリックに公開されているブロックチェーンにおいて、不可逆な形で分裂するフォークのことです。不可逆な分裂をすることによって、それまでのブロックチェーンとは全く別物のブロックチェーンとなるため、機能や価格などに大きな影響を与えます。

2018年5月のハードフォーク

2018年5月にハードフォークが実施されました。主な変更点は「ブロックサイズの拡大」と「スマートコントラクトの実装」でした。まず、それまで8MBだったブロックサイズを、ハードフォークによって32MBまで拡張しました。ブロックサイズが4倍になったことで処理可能なデータが増え、取引件数の増加による処理の遅延を抑えられるようになりました。

また、イーサリアムなどのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)同様に、スマートコントラクトの機能を備えるように機能拡張も行われました。

2018年11月のハードフォーク

2018年11月にもハードフォークが実施されました。ビットコインキャッシュを管理するソフトに関するルール変更がフォークの理由でした。

ビットコインキャッシュの誕生に関わった開発チームのひとつ「Bitcoin ABC」主導で行った変更だったのですが、他開発チームから賛同を得られなかったため、異なる意見を支持するグループとの間であつれきが生まれることとなりました。

Bitcoin ABCが提案したハードフォークは結果として大きな波紋を呼び、他開発チームとの対立がビットコインキャッシュの分裂にまでつながりました。最終的にBitcoin ABCの提案が「ビットコインの理想に反する」という理由で、開発チームのひとつ「Bitcoin SV」が強く反対したことでハードフォークが実施され、「ビットコインABC」と「ビットコインSV」の2つに分岐しました。なお、日本国内の暗号資産交換業者の多くは、ハードフォーク実行前からABCをビットコインキャッシュの後継コインとして扱うことを告知していました。

2019年5月のハードフォークではシュノア署名を実装

2019年5月に実施されたハードフォークでは、トランザクションへの電子署名方式を「楕円曲線DSA」(ECDSA)から「シュノア署名」に変更されました。シュノア署名は、トランザクションの署名において複数の署名をまとめて1回で行えるため、データ量を圧縮できる上に、安全性も向上すると注目を集めました。

2019年11月のハードフォーク

2019年11月15日に実施したハードフォークでは、OP_CHECKMULTISIG、OP_CHECKSIG、OP_CHECKDATASIGという三種類の署名検証命令すべてが「シュノア署名」に対応することになりました。さらにトランザクションセキュリティの向上によって、BCHネットワーク上のほとんどのトランザクションが攻撃不可能になったとされています。

2020年5月のハードフォーク

2020年5月に実施されたハードフォークでは、主に4点が変更されました。

一点目はスクリプト実行時の署名チェック方式が「SigOps」から「SigChecks」に変更されました。二点目は「OP_REVERSEBYTES」と呼ばれる、文字列内のバイトを逆順にする命令の追加です。SigChecksへの変更とOP_REVERSEBYTESの追加によってコンセンサスルールが変更されました。

三点目はメモリプール(mempool)内のトランザクションチェーンの制限を25から50に変更すること。最後の四点目がマイナーを活性化させるためのインフラ資金調達の拡大です。この最後の2点はポリシーの変更に関わるものです。

2020年4月には初の半減期

ビットコインキャッシュは2020年4月8日、実行ブロック63万を迎え、ビットコインからハードフォークして以来、初めての半減期を迎えました。半減期により、マイナーへの支払いが1ブロックあたり、12.5BCHから6.25BCHへと半分になりました。価格への影響が想定されましたが、半減期前後には若干価格が動いたものの、その後は大きな変化は起きていません。

ビットコインキャッシュの過去の価格動向は?

2017年12月までの価格動向

2017年8月にビットコインから分裂して以降、1BCH=8万5,000円台で推移し、2017年11月には1BCH=10万円を突破しました。2017年12月には、暗号資産市場全体が盛り上がっていたこともあり、価格が急騰しました。一時42万円を超える最高値を記録しましたが、30万円前後まで値を戻しています。

https://bitcoin.dmm.com/trade_chart_rate_list/bch-jpy

2018年のビットコインキャッシュ価格動向

2018年にビットコインキャッシュは2度のハードフォークを実施しました。1回目は、2018年5月にハードフォークを実施し、2018年5月15日に完了しました。2回目は、11月16日に2度目のハードフォークを実施し、その際は価格が一時的に上昇しました。

2018年1月上旬、ビットコインキャッシュの価格は1BCH=30万円前後で推移しました。1月下旬に入ると価格が急落し、4月には下落基調が明確になり、1BCHは6万円台まで急落しました。5月に入ると一時1BCH=20万円に上昇したものの、5月末には再び下落。価格が10万円を割り込みました。

9月には1BCH=5万円を切る状態で、11月上旬には価格上昇の兆しが見え、1BCH=7万円台まで上昇しました。11月下旬にはさらに1BCH=2万円台まで価格が落ち込み、12月中旬には1万円を割り込みました。

https://bitcoin.dmm.com/trade_chart_rate_list/bch-jpy

2019年のビットコインキャッシュ価格動向

2019年1月中は、価格はほぼ横ばいで、1BCH=1万5,000円前後を維持しています。ハードフォークが意識され始めた4月初めに入ると価格が上昇し、1BCH=3万円台で推移しています。ハードフォークがあった5月にはさらに急激に上昇し、1BCH=4万7,000円台となっています。しかし6月以降は価格下落傾向が続いているという状態です。

https://bitcoin.dmm.com/trade_chart_rate_list/bch-jpy

2020年のビットコインキャッシュ価格動向

2020年は2月にかけて暗号資産市場が高騰したのと同時にビットコインキャッシュも1BCH=5万3000円まで上昇しました。4月に半減期、5月にハードフォークが実施されたものの、価格に大きな影響はなく、7月末にイーサリアムやビットコインの上昇に連れて値をあげました。記事執筆の8月4日時点では1BCH=3万1000円を推移しています。

https://bitcoin.dmm.com/trade_chart_rate_list/bch-jpy

ビットコインキャッシュの将来性、今後を探る

ビットコインキャッシュは、ブロックサイズの拡大により送付速度が向上した影響で、ほかの暗号資産と比較して、取引手数料が比較的安価というメリットがあります。今後はこのメリットがどのように評価されるか、また流通量が増加するかどうかが注目されています。

2018年のハードフォークで追加されたスマートコントラクト機能の動向にも注目が集まっています。ビジネス面では決済手段や自動化などのユースケースに対して、スマートコントラクトの機能が役立つ可能性が期待されています。

ビットコインキャッシュの開発チームABCの主要メンバーであるロジャー・バー氏は、「ビットコインキャッシュこそがビットコインである」と発言しており、サトシナカモトが提唱したビットコインのコンセプトを忠実に引き継いでいると表明しています。

DMM Bitcoinでは、ビットコインキャッシュの「レバレッジ取引」を行える

DMM Bitcoinのレバレッジ取引では、ビットコイン(BTC)をはじめライトコイン(LTC)や、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ネム(XEM)、イーサクラシック(ETC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ベーシックアテンショントークン(BAT)、クアンタム(QTUM)、ステラルーメン(XLM)、モナコイン(MONA)、という国内最多11種類の暗号資産でレバレッジ取引が可能です。(2020年8月現在、国内暗号資産交換業者のウェブサイト調べ)

レバレッジ取引とは、損失時の決済に備える一定額の資金(証拠金)を担保に、それより大きな金額で売買できる取引であり、現物取引と違い取引ごとの現物(暗号資産)の受け渡しは行われません。暗号資産を売買(新規注文と決済注文)したときの「差額の現金(日本円)のみ」を決済時に受け渡す「差金決済」取引となっています。

レバレッジ取引では、少額からでも暗号資産の取引を始めることも可能です。

「レバレッジ取引」のポイントは、「空売り」(ショート)にアリ

レバレッジ取引は、暗号資産を購入する取引(新規買い)からだけではなく、暗号資産を売却する取引(新規売り)からも取引できます。暗号資産の価格が下落傾向にある場合など、実際にその暗号資産を保有していない状態でも「現在の価格で売る」(新規売り)という指示を出すことはできます。価格下落後に「現在の価格で買う」(買い戻し)という決済注文を入れると、売却価格と購入価格の差額が利益となります。

暗号資産取引を行う際の注意点とリスク

暗号資産取引はメリットだけでなく、リスクもあります。売買を行えば必ず儲かるというわけではないため、リスクについても学び、必ず対策を検討して備えることが必要です。

ビットコインキャッシュのハードフォークは毎年2回を予定している上、元々の分裂元であるビットコインの価格から影響を受ける可能性がありえます。加えて、ビットコインキャッシュのマイナー(採掘者)の動向が価格に影響している可能性がある点や、主要なマイナーが存在する中国の規制動向も見逃せないでしょう。ビットコインキャッシュについては、中国の法規制、ビットコインやマイニング関連など幅広い分野にわたる最新情報の収集が必要なのです。

また、レバレッジ取引の場合、少ない資金で大規模な取引を行えるため、利益が大きくなる可能性がある一方で、わずかな価格変動でも損失が膨らむリスクがあります。

暗号資産取引では、価格変動の幅を指す「ボラティリティ」が高く、価格が激しく上昇・下降する可能性があることも覚えておきましょう。また、暗号資産市場には株式市場のようなストップ高・ストップ安の仕組みがありません。この辺りはメリットと同時にリスクとなっているため、暗号資産取引を行う際にはしっかりと学んでおく必要があります。

ビットコインキャッシュまとめ

ビットコインキャッシュは、ビットコインから派生した暗号資産であり、ブロックサイズの上昇に伴って送付処理の速度がビットコインと比べ向上しており、スケーラビリティ問題を緩和しています。

また何度かハードフォークを繰り返すことで、利便性や機能を向上させている点も特徴的です。現在のビットコインキャッシュは、イーサリアムなどのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)と同様に、スマートコントラクトの機能を備えています。

暗号資産取引という点では、ビットコインキャッシュのマイナー(採掘者)の動向が価格に大きく影響している可能性にも注目です。そのため、ビットコインキャッシュ自体を含め、主要なマイナーが存在する中国の動向、マイニング関連など幅広い分野にわたる最新情報の収集が必要となっています。リスクを把握し、最新情報を集めながら取引を行いましょう。

ビットコインキャッシュの今後について興味を持った方は「ビットコインキャッシュの価格は今後上がる?取引タイミングや注意点」もご覧ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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