暗号資産(仮想通貨)の詐欺に注意!その手口を見抜くには?
株式など歴史のある金融商品に比べると、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は価格変動が激しくハイリスク・ハイリターンであるといえます。それゆえに、「ビットコインや暗号資産で大きく儲けられるかもしれない」といった心理につけ込んだ詐欺が行われています。2022年4月からは成年年齢が18歳に引き下げられることで被害の拡大も心配されます。
そこで今回、「国民生活センター」へ報告されている暗号資産関連の詐欺やトラブルの事例を踏まえ、詐欺に遭わないための基礎知識や対策を紹介していきます。

暗号資産(仮想通貨)詐欺被害の割合が若者で増加

ビットコインをはじめとする暗号資産の認知度や、暗号資産取引に興味をもつ方は増加傾向にあり、同時にビットコイン詐欺や暗号資産に関するトラブルの事例も起きています。独立行政法人「国民生活センター」の発表によると、暗号資産の話題性に便乗した実態不明な投資への勧誘や、ICO(Initial Coin Offering)あるいはマイニング(採掘)への投資話に関する相談、他人のウォレットへ誤送付してしまうトラブルなどが発生しているようです。
国民生活センターWebサイト「暗号資産(仮想通貨)」のページを見ると、年度ごとの相談件数は、2015年度が441件、2016年度が847件、2017年度は2,910件、2018年度は3,455件、2019年度は2,800件、2020年度は2894件(2021年3月31日までのデータ)となっています。
2015年度から3年連続で増加し、特に価格上昇によって暗号資産に注目が集まった2017年、2018年ごろにピークを迎えました。しかしその後も、相談件数は3000件に近い値を推移しています。

暗号資産の相談件数の推移
(2021年3月31日までのPIO-NET登録分/独立行政法人国民生活センター)
一方で、2021年6月には国民生活センターの相談件数で10〜20歳代の割合が増加していることが示されています。
2022年4月から成年年齢が引き下げられることで、契約可能な年齢が18歳になります。若者に対して「簡単に稼げる」「儲かる」ことを強調している話を安易に信じないように呼びかけています。
参考リンク:
国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ<No.2>】情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル 」
暗号資産(仮想通貨)詐欺の特徴と手口

暗号資産に関する詐欺の事例をいくつか紹介します。
著名人を偽ったビットコインプレゼント
ツイッターなどのSNSで裕福な著名人になりすました詐欺があります。
口座確認目的でなりすましのアカウントが指定するアドレスに送付したら2倍にして送り返すというもので、2020年6月に起きたこの詐欺では、ツイッターのアカウント認証マークが付いていたことから、著名人本人であると多くの人が勘違いし、十数億円分のビットコインが騙し取られました。
同様の詐欺が、同年3月に海外の著名人になりすまして起きています。
さらに著名人のツイッターアカウント自体をハッキングし、同様に「2倍にして返すので送付してほしい」といった詐欺も行われています。
マッチングアプリを使った詐欺
2021年12月ごろには、独自に発行した暗号資産を1500人に販売し、総額で20億円相当の正規の暗号資産と交換して現金化した事件が日本国内で報じられました。マッチングアプリで知り合った客に対して、投資家を装い「自分も買った」「今後価値が上昇する」などと虚偽や信憑性のない発言をし、ビットコインなどを騙し取ったとされています。
2021年には宮城県や岐阜県などでSNSを通じて知り合った「外国人の男」から投資話を持ちかけられ、数千万円のお金を騙し取られる事件も起きています。
この手口では、誘われた投資アプリにお金を振り込んだら、アプリの表示上は金額が増えたものの、その後引き出せないことなどの問題が起きています。
無登録業者による勧誘
海外の暗号資産交換業者が、国内の暗号資産交換業者では取り扱いのない暗号資産(仮想通貨)であると宣伝し、勧誘するケースがあります。国内で暗号資産を販売できる事業者は金融庁に登録されている暗号資産交換業者だけなので、このケースは違法である可能性が高いです。
前項で紹介したマッチングアプリを使用した詐欺も、無登録業者が独自の暗号資産を販売したケースです。
また、複数の業者が役回りを分担して暗号資産を購入させるといった劇場型勧誘による詐欺も報告されています 。その他にも「購入時の3倍以上での買取保証がある」などと宣伝し、消費者を勧誘するケースや、金融庁や外国政府、有名人、有名企業のお墨付きを得ているかのように宣伝する事例、期間限定の特典やキャンペーンでの勧誘など様々な事例があります。代理店からの購入やセミナー受講が必須となっているなどの条件が設けられているものや、最低購入金額が高く設定されているものなどにも気を付けた方が良いでしょう。
法整備後のICOの動向は?

前項の通り、暗号資産への投資熱が高まった2017年から暗号資産(仮想通貨)に関する詐欺が急増しています。
2017年はICOブームが起こった時期でもあり、詐欺目的のICOも多かったことから、同年10月に金融庁からICOに関する注意喚起がされています。
その後、金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」で議論されたICO規制の内容が、2020年5月に施行された「資金決済法」や「金融商品取引法」などの改正法に反映されました。
また、2019年6月には暗号資産交換業者などが参照する「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」に、ICOへの対応などが盛り込まれた改正案が示されています。
法改正に関連して業界団体も動きを見せています。
2019年3月に「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」が「新たなICO規制についての提言」を公開、同年9月には暗号資産交換業者の自主規制団体「日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」がICOに関する自主規制規則を公表しました。
ICOに関する法的な位置付けや、国内でICOを実施する際のプロセスを明確にする具体的な動きが出てきており、2020年5月に施行された改正金融商品取引法や改正資金決済法でそれぞれ規制されました。
今後、日本国内でも法規制を遵守したICOの事例が出てくる可能性は十分にありますが、 合法=投資リスクが低いという訳ではない点には留意しておきましょう。
関連コラム:
「日本におけるICOが変わる?仕組みやメリット、リスクを解説」
購入前に公的機関のWebサイトで確認

暗号資産(仮想通貨)関連の投資話を持ちかけられたり、怪しいと感じたりした場合は、購入を検討する前に規制当局のWebサイトを確認するか、警察に相談するようにしましょう。各省庁や国民生活センターでは暗号資産トラブルに関する注意喚起や情報提供がされています。
参考リンク:
消費者庁「暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください!」
金融庁「暗号資産(仮想通貨)に関する相談事例等及びアドバイス等」
金融庁「金融サービス利用者相談室 ウェブサイト受付窓口」
暗号資産(仮想通貨)詐欺を防ぐ5つの対策

暗号資産(仮想通貨)詐欺に遭わないようにするために知っておきたい基礎知識や対策について紹介します。
暗号資産に関する基礎知識を身に付ける
まず、暗号資産の基礎知識を身に付けましょう。
暗号資産は、日本円や米ドルのような法定通貨とは異なるもので、インターネット上でやり取りされる電子的な存在です。法定通貨との交換レートに基づいて売買されています。
暗号資産の価格は需要と供給のバランスに応じて絶えず変動しており、価格変動により利益を得られることもあれば、損失が発生することもあります。したがって、詐欺コインの宣伝文句で見られるような「数年後に価格が倍増する」といったことは誰にも分からないのです。
関連ページ:
「暗号資産(仮想通貨)とは?暗号資産(仮想通貨)取引について知る」
暗号資産交換業者か確認する
法律上、日本国内の居住者に対して暗号資産の取引(売買)サービスを提供するには、「暗号資産交換業者」として金融庁に登録しなければなりません。当然ながら、DMM Bitcoinも暗号資産交換業者として登録しています。(関東財務局長 第00010号)
金融庁の「暗号資産の利用者のみなさまへ」というページでは、「暗号資産交換業者登録一覧」が公開されているので、暗号資産取引サービスを使う場合は、このリストを確認しておくと良いでしょう。
参考リンク:
金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」
金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」
暗号資産がホワイトリストに入っているか確認する
金融庁では暗号資産登録業者が扱っている暗号資産を一覧で紹介しています。
これらの暗号資産は、審査を経て取り扱いが許可され、安全性や信頼性が高いとされていることから「ホワイトリスト」と呼ばれています。
ホワイトリストは2017年施行の改正資金決済法によって、国内の暗号資産交換業者が登録制になったことを機に作成されました。
2021年12月現在ではホワイトリスト入りしているのはビットコイン、イーサリアムやリップルなど36銘柄です。
DMM Bitcoinで扱っている暗号資産はもちろん全てホワイトリストに入っています。
しかし、ホワイトリストに入っているからといって金融庁が直接安全性を保証している暗号資産である訳ではなく、また価値が上昇すると保証しているものでもありません。この点については留意しておきましょう。
参考リンク:
金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」
無登録業者関連を確認する
金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」と同時に確認しておきたいのが、無登録業者に関する情報です。金融庁の「暗号資産関係」というページでは、国内の居住者向けに無登録で暗号資産交換業を行う事業者に対する警告書が掲載されています。
なお、無登録業者として警告されていない事業者であっても、無登録で暗号資産交換業を行っている事業者が存在する可能性はあるので注意が必要です。
参考リンク:
金融庁「暗号資産関係 無登録業者関連」
暗号資産投資は高額から始める必要はない
暗号資産の取引は少額から始められます。特に暗号資産取引の初心者の方は、少額からでも暗号資産が買えることを覚えておけば、取引のハードルが下がるだけでなく、最低購入金額が高い暗号資産の投資を持ちかけられた際に、詐欺だと見抜きやすくなります。
例えばDMM Bitcoinの「取引概要」ページにある「暗号資産(仮想通貨)取引銘柄」を確認すると、ビットコインの現物取引(Bit Match注文を除く)における「最小発注数量」は「0.0001」となっており、これは0.0001BTCから取引ができることを意味しています。
つまり、1BTC=500万円という交換レートであれば、500円(0.0001BTC)から購入できるわけです。暗号資産取引は決して多額の元手が必要なものではなく、余剰資金の範囲内で少額から取引できるものなのです。
怪しいと感じたら相談や情報収集を

国民生活センターへの相談件数からも分かるように、暗号資産(仮想通貨)詐欺は実際に行われています。暗号資産の業界では、詐欺目的の暗号資産やプロジェクトのことを「詐欺コイン」や「スキャム」(Scam:詐欺の意)、「仮想通貨詐欺」「ビットコイン詐欺」などと表現することが多いようです。これらの単語をインターネットでキーワード検索すると、暗号資産に関する詐欺の手口や事例がヒットするので、暗号資産関連の投資話を持ちかけられて怪しいと感じたら、まずはネットで検索するなどの情報収集を行いましょう。
報道などでは金融機関や警察に相談したことで、投資詐欺に遭っていることが発覚したこともあります。困った時には金融庁の相談室や警察相談専用電話、消費者ホットラインに相談しましょう。
まとめ

暗号資産(仮想通貨)の認知度の向上や取引量の増加に伴って、暗号資産に関するトラブルや詐欺も起きています。国民生活センターに寄せられた、実態不明な暗号資産やICO、マイニングへの投資に関する相談件数は2017年以降も1000件を超える数で推移しています。特に10〜20歳代の被害割合が増加しています。
暗号資産に関する詐欺の手口には様々な種類があるため、少しでも怪しいと思ったらネットで検索したり、国民生活センターや関係省庁(金融庁や消費者庁、警察庁など)のWebサイトで調べたりしましょう。電話などで相談するのも良いかもしれません。
暗号資産に関する詐欺や詐欺コインの被害に遭わないためには、暗号資産や暗号資産取引に関する基礎知識を身に付けた上で、暗号資産取引を行いましょう。
例えば、登録済みの暗号資産交換業者の一覧は金融庁のWebサイトで公開されているので、暗号資産の取引・販売サービスを提供する事業者が、登録を受けているかどうかを確認することができます。また、暗号資産取引には高額な手元資金は必要ありません。
暗号資産に関するトラブルや詐欺に遭わないためには、確認すべき情報提供機関を知り、暗号資産の基礎知識を身に付けておく必要があります。
暗号資産は少額から始められるので、余剰資金の範囲内で無理なく取引をしていきましょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
関連記事
-
暗号資産(仮想通貨)のトランザクションとは?仕組みやできることを解説
暗号資産(仮想通貨)には、ブロックチェーン上の取引を記録した「トランザクション」という用語があります。この記事では、トランザクションの概要や仕組みについて解説し、DMM Bitcoinでの取引状況の確認方法についても説明します。
-
暗号資産(仮想通貨)の法律を解説!規制整備の流れを把握しよう
ビットコイン(BTC)を筆頭とする暗号資産(仮想通貨)は、急速に普及したことや次々と新しい技術が生まれていることから、2023年7月現在も法整備が進められている最中です。この記事では、暗号資産に関する法律をまとめていきます。
-
ウォーレン・バフェット氏は暗号資産(仮想通貨)に懐疑的?
「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、同氏が投資することがわかると「バフェット効果」という言葉が生まれ、株価に影響を与えるほどの人物です。しかしバフェット氏は暗号資産(仮想通貨)に懐疑的な姿勢で知られています。この記事では、バフェット氏の暗号資産への姿勢について解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)に影響与えるSEC(米国証券取引委員会)とは?
暗号資産(仮想通貨)の価格や取引に大きな影響を与えるとして、頻繁にニュースに登場するのがSEC(米国証券取引委員会)です。この記事では、暗号資産市場を規制するSECとはどのような組織なのか、そして暗号資産価格に影響を与える理由について解説します。
-
安心して暗号資産(仮想通貨)を保有するためのセキュリティ対策とは?
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)に使われているブロックチェーンには最先端の暗号化技術が用いられていますが、手元のウォレットや、暗号資産交換業者の提供する取引口座において暗号資産を管理している場合、このセキュリティ対策に何らかの弱点があれば、その隙を突いて暗号資産が盗み出されることがあります。本記事では、どのようなセキュリティ対策が講じられていれば暗号資産を安心して保管しておけるのかを解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)と銀行の関係は?価格への影響も解説
2023年3月から5月にかけて、相次いでアメリカで銀行が破綻しました。こうした銀行の破綻の影響は、暗号資産(仮想通貨)にも及んでいるようです。この記事では銀行と暗号資産の関係性や、価格の影響について解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)のスラングを紹介!SNS特有の現象も
SNSで情報が活発にやり取りされる暗号資産(仮想通貨)では多くのスラングが存在します。この記事では暗号資産に使われるスラングを解説します。
-
暗号資産(仮想通貨)が証券に該当するかを判断するハウェイテストとは
暗号資産に関する金融商品が有価証券とみなされるかどうかで、扱う法律や規制が大きく変わってきます。特に大きな意味を持つのは、アメリカです。この記事ではアメリカのハウェイテストについて解説します。
今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン