ビットコインの課税とは?

ビットコイン
課税
2018-09-19 更新

ビットコインなどの仮想通貨で得た利益は課税対象である、と2017年12月に国税庁が発表しました。それまではビットコインをはじめとする仮想通貨で得た利益については明言されておらず、グレーゾーンというイメージをお持ちの方も多かったのではないでしょうか。

しかし、実際はビットコインなどの仮想通貨で得た利益は確定申告しなければ脱税になります。もちろん確定申告が必要ないケースや節税対策ができる場合もあります。ここではビットコインの課税についてご紹介します。

ビットコインの課税とは?

ビットコインなどの仮想通貨にかかる税金

ビットコインを含めた仮想通貨は、価値のあるものと交換した場合や初期投資より上昇した価格で売却した場合の損益に関して課税されます。しかし2017年7月に改正された資金決済法では購入した時の消費税は非課税の扱いになりました。これはたとえば図書カードや商品券などが非課税(消費税なし)であるのと同様の扱いです。ここではビットコインに関する消費税と所得税の考え方を解説します。

消費税

従来はビットコインなどの仮想通貨を購入する時には8%の消費税を支払っていましたが、ビットコインは資金決済法の改正により消費税法上、非課税となりました。すでに仮想通貨の取引を行っている諸外国では消費税免除であることが多く、日本でも法整備を見直す意見が出ていました。

その背景には、実店舗(ネットショップも含め)でもビットコインなどで支払えるケースが増えたことで、ビットコインが支払手段の1つとして認識され始めたことが大きいと言えます。そのため2017年度の資金決済法改正では、仮想通貨自体を支払手段として認める判断がなされ、消費税が撤廃されました。

この措置は、プリペイドカードや電子マネーなどと同じように、購入時の消費税は非課税にすることで二重課税を防ぎます。たとえば今までは仮想通貨を購入するだけで8%の消費税を支払い、この購入した仮想通貨で何か買い物をした場合、さらに8%の消費税を支払うことになっていました。これを避けるためにも、購入時の消費税は非課税とされました。

ビットコインなどの仮想通貨に消費税がかからなくなったことによって、利用者は二重課税が無くなり、事業者は消費税を納める手続きが無くなったので、両者にとって利便性が増しました。

所得税

ビットコインなどの仮想通貨の購入時にかかっていたのが消費税ですが、実際に取引を行い、利益が出た場合は所得税がかかります。これは会社員の給与所得に所得税がかかるのと同じ意味になります。給与所得がある方(もちろん、ない方でも)がビットコインなどの仮想通貨で取引を行い、利益が出た場合は確定申告を行わなければなりません。

所得税には総合課税と分離課税という2つの制度がありますが、ビットコインなどの仮想通貨で得た利益は雑所得として計算されます。FXや株などの分離譲渡所得に一見似ていますが、雑所得なので損益通算や繰り越し控除ができない仕組みになっています。

これがビットコインなどの仮想通貨の注意すべき点で、取引において損した場合でも税金が減ることはありません。以下にビットコインの課税率と計算方法を記載していますので、参考にしてください。

ビットコインの課税率と計算方法

ビットコインなどの仮想通貨で得た利益は「総合課税の雑所得」という位置付けになります。少しややこしいのは、売却した時や仮想通貨で商品を購入した時以外に、別の仮想通貨と交換した場合でも課税対象になります。

【課税される所得金額(税率/控除額)】
195万円以下(5%/0円)
195万円以上~330万円以下(10%/97,500円)
330万円以上~695万円以下(20%/427,000円)
695万円以上~900万円以下(23%/636,000円)
900万円以上~1,800万円以下(33%/1,536,000円)
1,800万円以上~4,000万円以下(40%/2,796,000円)
4,000万円以上(45%/4,796,000円)

課税計算方法
【所得金額】×【税率】-【控除額】=【税額】

課税計算例:800万円×0.23-63.6万円=1,204,000円(税額)
(これに加えて復興特別所得税として基準所得税額の2.1%も併せて申告が必要)

株式などの投資とは違い、所得が高いほど税率が引き上げられる累進課税方式なので利益が大きくなればなるほど税額が大きくなるようになっています。

20万円以上の利益があると課税対象になる

税務署のウェブサイトには、1年で20万以下の雑所得なら確定申告をしなくても良いとされています。ただし、仮想通貨などの利益が20万円以下でもアルバイトの給与などの本業以外の収入を合計した場合に20万円を超えた場合は、確定申告が必要になります。もちろん、仮想通貨による利益が20万円以上の場合は課税対象になります。

どのタイミングで課税されるのか

ビットコインで利益を出した場合は課税対象になりますが、実際に税金が発生するタイミングは状況によって異なります。

ビットコインの取引をしている方は「確定申告」の必要性は理解していても、利益総額で計算すれば良いと考えがちですが、実際にはいくつかのタイミングがあります。ここでは少し複雑なビットコインの課税のタイミングについて解説します。

課税のタイミングにはいくつかある

ビットコインなどの仮想通貨だけでなく、FXや先物、信用、レバレッジなどの取引では、買いでも売りでも日本円で利益が出た時点でその利益が課税対象になります。一方でビットコインをはじめとした仮想通貨は、売却せずにそのまま保有しているだけであれば課税されません。しかし仮想通貨を購入して売却した時、何か商品やサービスを購入した時、別の仮想通貨を購入した時は課税対象になります。全ての場合に共通しているのは利益が出た時です。以下にそれぞれの課税のタイミングを解説します。

商品やサービスを購入した時

ビットコインなどの仮想通貨を使って商品やサービスを購入した時が課税のタイミングになります。これは最初にビットコインなどの仮想通貨を購入した時の金額と同等の商品やサービス金額であれば課税になりませんが、購入したビットコインなどの仮想通貨が購入時の数倍の価格(換算して)まで上昇して購入した商品やサービスの場合に課税対象になるという意味です。

わかりやすく例を挙げて説明します。たとえば、日本円で10万円分のビットコインを購入し、その後そのビットコインが2倍の価値となり、日本円で20万円の価値となった時に、ビットコインを使って20万円の価値のある電化製品を購入したとします。

これは最初10万円しか投資していませんが、最終的には20万円分の電化製品を購入しています。この時に初期投資と比較すると10万円もの差額が発生し、これが課税対象となります。ただし、たとえば15万円分の家電製品を購入した場合は、残りの5万円には課税されません。

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、初期投資の金額とその通貨を使用した時の金額にどの程度差額があるのかを把握しておく必要があります。そのためには、購入時の領収書はしっかり整理して保管するようにしましょう。

ビットコインなどの仮想通貨を売却した時

ビットコインなどの仮想通貨を購入した時の金額よりも、売却した時の金額が大きい場合はその差額が所得となり、課税対象となります。たとえば、ビットコインに日本円で10万円の投資をして、結果的に20万円に上昇した時に売却すれば、その時の利益である10万円が課税対象となります。

ビットコインだけに限らず、別の仮想通貨でも価格が上がった時に日本円に換金して売却益が出た場合、その利益が課税対象になります。

ビットコインで他の仮想通貨を購入した時

たとえばビットコイン以外の仮想通貨をビットコインで購入した場合も課税されることがあります。これは仮想通貨同士の売買においても、「商品やサービスを購入した時」と同じ扱いになります。

例として、日本円で10万円をビットコインで購入します。その後ビットコインが20万円まで上昇し、その20万円の価値で別の仮想通貨を購入した場合、その上昇した価格で他の仮想通貨を購入した時が課税のタイミングです。この場合は最終的に20万円の価値になったので、10万円が課税対象ということになります。

ただし、2017年にビットコインとビットコインキャッシュの分裂という出来事がありましたが、新しい通貨として手に入れた場合は別です(ビットコイン所有枚数に応じてビットコインキャッシュが付与された)。新しい通貨には価値がない、つまりゼロ円とみなされて課税対象にはなりません。付与された時点では課税ではありませんが、ゼロ円から上昇して売却した時に得た利益は課税対象です。

ビットコインなどの仮想通貨の含み益は課税対象なのか?

FX投資などをされている方なら含み益という言葉はご存知でしょう。含み益とは、まだ売買確定させていない状態の利益を指します。ビットコインなどの仮想通貨でもまだ利益確定前に含み益という状態になっていることがあります。この利益は課税対象になるのでしょうか?ここでは含み益と課税の有無について解説します。

含み益(評価益)とは?

含み益とは、まだ売買確定されていない状態の利益のことです。
2017年12月に国税庁が「ビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象になる」と発表しました。つまりビットコインを使用しなければ(売却や利益による商品購入、他仮想通貨を購入等)課税対象にはなりません。つまり、ビットコインなどの仮想通貨の含み益は課税対象にならないということです。

これはFX取引でも同様で、含み益があったとしても未決済のポジションであれば課税対象ではありません。この時も課税対象は決済損益だけが対象です。

課税有無

ビットコインなどの仮想通貨は保有しているだけでは課税対象になりません。課税になる時は仮想通貨を日本円などに換金した場合(または価値のある商品を購入する、他の仮想通貨を購入して利益を出した時)です。保有していて含み益が日々増えたとしても、仮想通貨を動かすことがなければ税金はかかりません。利益確定した時点が課税対象となります。

たとえば元本が10,000円でビットコインを購入後に、そのビットコインの価格が20,000円に上昇した場合、含み益は10,000円となります。上昇した価格、20,000円を元手に16,000円の商品を購入した場合、6,000円分が課税対象、4,000円は課税対象になりません。

また補足として、通算利益に関しても税金がかかります。たとえば最初の仮想通貨交換業者で20万円の利益を得て、別の仮想通貨交換業者で10万円の損失が発生した場合は、課税対象が20万円-10万円で10万円分の課税対象となります。これは含み益とは少し違いますが、通算利益に対する考え方という意味で覚えておくべきものです。

課税対象でも確定申告しなかった場合

税務署に発覚するか

ビットコインなどの仮想通貨取引では累進課税という方法を取るので、利益が大きくなればなるほど税額が大きくなります。最高税率が45%、加えて住民税が10%となると利益の55%は税金として納めなければなりません。株などと違い、他の所得との損益通算はできないので、赤字になったとしても翌年に繰り越すことができません。

ビットコインを含む仮想通貨は法定通貨ではありません。しかし金融商品としてもまだ微妙な位置付けにあります。そこで消費税法では非課税となり、利用者と事業者両方に扱いやすい形になりました。

しかし、いくら消費税が非課税でも相当な利益が出ていたら、納税額が大きくなることを覚悟しなければなりません。もし手元に納税用の資金がない場合はビットコインを売却して納税資金にするしかありません。このようなことからも、なるべく確定申告したくないという方がいます。

発覚しないと信じて税金を払わない方もいるかもしれませんが、国税局はしっかりと認識しています。FX取引会社経由でFX売買すると自動的に税金の計算をされてしまいます。しかし仮想通貨なら個人間取引または海外の仮想通貨交換業者は追跡調査ができないところもあります。ただし国内の仮想通貨交換業者ではある程度の損益情報を得ることができるので、やはり利益が出ているなら確定申告は必須です。

実際に無申告が発覚した場合は、本来の税額に加えて「無申告加算税」が上乗せされます。それだけでなくさらに「重加算税」が加えられることがあります。そして無申告や過少申告をすると金額次第では刑事告発されることもあります。

高額になればなるほど、税金の未払いは悪質だとみなされてしまいます。課税対象となるものは必ず確定申告をしましょう。また、DMM Bitcoinには、月末残高履歴や全出金・出庫等の履歴が確認できるサービスがあるので、いつ利益を得たのかというタイミングを確認する時にも便利です。

税金対策について詳しく知りたい方は「暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合の税金対策!納税額はどのように決まるのか」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

関連記事

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン