イーサリアムとは?特徴や将来性をわかりやすく解説

イーサリアムとは
2024-03-13 更新

「ワールドコンピュータ」とも称されるイーサリアムは、暗号資産(仮想通貨)そのものの名称ではなく、プログラムを実行するためのブロックチェーンプラットフォームです。プログラムを実行するためのコストを測定・制限するために暗号資産であるイーサ(ETH)を用います。

2020年ごろからは「分散型金融(DeFi)」や「ノンファンジブルトークン(NFT)」が注目を集め、DeFiやNFTの構築基盤となっているイーサリアムの人気が高まっています。

本記事では、イーサリアムの入門記事として、特徴や将来の予定、過去の値動きなどをわかりやすく紹介していきます。イーサリアムの概要を把握することで、今後の取引や情報収集にご活用ください。

イーサリアムとはどんな暗号資産(仮想通貨)?

イーサリアムブロックチェーンで使われるイーサは世界中で人気が高く、ビットコイン(BTC)に次いで時価総額第2位の暗号資産(仮想通貨)です(2024年1月現在)。決済や取引など「価値の移転」を目的として開発されたビットコインとは異なり、イーサリアムは、さまざまなアプリケーションやプログラムを設計できるように開発されました。用途や目的に応じたプログラミングを行い、イーサリアムのブロックチェーン上にアップロードするだけで独自のブロックチェーンシステムが利用可能となります。また、法定通貨や暗号資産との交換や送付、決済などにも使用されています。

特徴としては次の3点が挙げられます。

1.プラットフォームとしての機能

2.スマートコントラクト

3.独自のトークン規格

以下では、これらについて説明します。

プラットフォームとしての機能

前述したように、イーサリアムは分散型アプリケーション(DApps)を開発するプラットフォームとして開発されました。

DAppsとは、ブロックチェーンを使うことによって、中央管理者なしで機能するアプリケーションのことです。レンディングや暗号資産交換者のような取引所、さらにはステーブルコインなど、さまざまなサービスがあります。分散型の金融サービスを構築するプラットフォームに欠かせないのがイーサリアムなのです。

スマートコントラクト

そして、上述したDAppsを実現するために、組み込まれているのがスマートコントラクトという機能です。

スマートコントラクトはしばしば、自動販売機に例えられます。自動販売機は、「お金を入れる」「商品のボタンを押す」という2つの条件を満たすと商品が出てくるプログラムを実行すると機械と捉えられます。

この2つの条件を満たすことで、自動販売機はあらかじめ決められたプログラムを実行し、商品を受け渡します。この取引では第三者は必要ありません。

つまり、スマートコントラクトとは、自動販売機のように第三者を介さずにある条件のプログラムを自動実行する機能です。DAppsは、スマートコントラクトによって、中央管理者や第三者を必要とせずに金融サービスを開発が可能となります。

スマートコントラクトのメリットは2つあります。

1つ目は、データの改ざんを防げることです。スマートコントラクトは第三者が介入せずにプログラムが実行されるため、悪意のあるユーザーによる不正が行われません。さらに、ブロックチェーンはネットワークに参加しているユーザーすべてのコンピュータが相互につながりデータを同期しているので、仮にどこかで一部不正があったとしても、他の端末と照らし合わせれば不正を見つけることができます。

2つ目は、コスト削減につながることです。先ほどの例で述べたスマートコントラクトの特性であるプログラムの自動化により、DAppsの利用に仲介業者を必要としないために手数料などを抑えて低コストでの利用が実現できます。

独自のトークン規格「ERC」

独自の暗号資産やトークンを発行できることも大きな特徴でしょう。イーサリアムには「ERC」というトークン規格があり、NFTのほとんどは「ERC-721」か「ERC-1155」という規格を使って作られています。

さらに「ERC-20」というトークン規格はイーサリアムブロックチェーンと互換性を持つ暗号資産を作ることに多く使われています。ERC-20を使った暗号資産としては、メイカー(MKR)やチェーンリンク(LINK)があります。

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考案者は当時19歳のヴィタリック・ブテリン氏

イーサリアムはヴィタリック・ブテリンという人物によって考案されました。

ブテリン氏は、17歳の時にビットコインと出会います。彼は当初その存在に気に留めていませんでしたが、周りからビットコインについて聞くことが増えたこともあって、徐々に興味を持ち始めます。

その後、大学に進学したブテリン氏は、もっとビットコインについて学びたいと思い、大学を中退し、ブロックチェーンの技術が世界中でどのように使われているのか見るための旅に出ます。

彼は5カ月に及ぶ旅の中で、物の売買や個人認証、クラウドファンディングなどの場面でブロックチェーンが使われていることを目にした一方、特定の用途だけにしかブロックチェーンが使用されていない現状に気づきました。

その気付きがのちにイーサリアムの核となるアイデアにつながります。そして2013年、彼が19歳の時に汎用的なブロックチェーンであるイーサリアムを考案します。

翌年の2014年7月には、イーサリアムプロジェクトの資金調達のためにイーサリアムが販売されました。資金調達はビットコインで行われ、約15億円超を集めることに成功します。そして、翌年の7月にイーサリアムプロジェクトがスタートしました。

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イーサリアムとビットコインの違い

時価総額1位であるビットコインとイーサリアムの違いについても触れておきましょう。

両者は、目的や用途が異なります。前述したように、ビットコインは「価値の移転」を目的として、決済や取引が代表的な役割です。一方でイーサリアムはあらゆる目的でブロックチェーンを活用できるために設計、開発されたプラットフォームです。

その他にもビットコインには2100万BTCという発行上限がある一方、イーサリアムには発行上限がありません。その代わりに「バーン(焼却)」という発行したETHを消滅させることで価値の希薄化を防ぐ仕組みがあります。

元々、コンセンサスアルゴリズムはビットコインと同じプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)でしたが、現在はプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)に移行しています。この移行によって、送付遅延や手数料高騰の原因となるスケーラビリティ問題が改善されることが期待されています。

イーサリアムの歴史

イーサリアムは過去にハッキングなどの被害や大規模アップグレードによって、価格やシステム自体に大きな影響を受けてきました。

まず初めの大きな事件は、2016年6月に起こった「The DAO事件」と呼ばれるハッキング被害です。これによってハードフォークを実施することに繋がり、新たな暗号資産であるイーサクラシック(ETC)が誕生しました。

この騒動をめぐって、イーサリアムの価格は大きく下落しています。

また、イーサリアムは計画当初より様々な大型アップグレードが行われてきました。2023年12月時点でのアップグレードによる最大の変化としては、コンセンサスアルゴリズムをPoSとする「マージ(The Merge)」が実行されたことが挙げられるでしょう。このアップグレードは2022年9月に実行されました。この際にもイーサリアム価格は下落しています。この下落については相場の格言「噂で買い、ニュースで売る」が要因であるとの指摘があります。

また、アップグレードに伴い、イーサリアムPoWやイーサリアムフェアといった新たな暗号資産が生まれました。

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イーサリアムの価格動向を把握する

今後、イーサリアムの取引を行うことを考えているなら、リスクに備えるという意味でもこれまでの価格動向を確認しておくといいでしょう。

イーサリアムの価格に影響を与えているのは、これまでにも多く行われてきているアップグレードや新たなユースケースの誕生、暗号資産市場全体の動向、特にビットコインの値動きです。

例えば、アップグレードが順調に進まない場合には嫌気され下落することがあります。一方で順調に進むことが確認できたり、分散型金融(DeFi)やNFTといった新しい動向がユーザーを呼び込み、価格に影響を及ぼしたりしています。

(https://bitcoin.dmm.com/trade_chart_rate_list/eth-jpy)

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今後のイーサリアムはどうなる?将来性は?

2023年12月現在、イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏は、 マージ後を補足するロードマップを公表しています。

最初の段階が2022年9月に実装された「マージ」。第2段階が「サージ(The Surge)」、第3段階が「スカージ(The Scourge)」第4段階が「バージ(The Verge)」、第5段階が「パージ(The Purge)」、そして第6段階が「スプラージ(The Splurge)」です。

これらのアップグレードは並行して開発されており、一連のアップデートが成功すれば、イーサリアムの性能は大きく向上するため、イーサリアムの普及が進むと予測されています。

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DeFi(分散型金融)の定着に注目

スマートコントラクトを利用してイーサリアム上で分散型の金融サービスであるDeFiを構築する動きも大きくなっています。これまでの金融システムは、銀行や証券会社などが管理してユーザーに提供されてきました。しかし、スマートコントラクトを利用することでP2Pでの資産のやりとりを行うことも可能になりました。レンディングやトレード、ステーブルコインなどさまざまなタイプのDeFiが登場しています。

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NFTの普及

前述したように、NFTのほとんどはイーサリアムの規格で作られています。デジタルアートやカードゲームのみならず、メタバースといったデジタル空間でもNFTは利用されています。

ユースケースが広がることで、基盤となっているイーサリアムの注目はますます高まっていくかもしれません。

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DMM Bitcoinでは「現物取引」「レバレッジ取引」で取引可能

DMM Bitcoinでは、「現物取引」「レバレッジ取引」でイーサリアムを取引できます。

現物取引とは、売買の都度、購入代金の受け渡しをする取引のことです。また、現物取引は顧客が暗号資産交換業者に預け入れている資金(暗号資産(仮想通貨)を含む)の範囲内でしか取引できず、保有していない暗号資産を売却することもできません。

レバレッジ取引とは、少額の証拠金を元手として証拠金よりも大きな金額を売買できる取引を指します。例えば、10万円を証拠金として倍率2倍のレバレッジ取引を行う場合、最大20万円分の暗号資産取引ができます。現物取引では売買の都度、日本円と暗号資産の受け渡しが必要ですが、レバレッジ取引では買建て(又は売建て)と反対売買である決済売り(又は決済買い)をセットにして、その差額のみを日本円で受け渡す「差金決済」である点が大きく異なります。

またDMM Bitcoinでは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など28種類の現物取引に加えて、ソラナ(SOL)やカルダノ(ADA)など34種類でレバレッジ取引を行えます。

※2023年12月現在

イーサリアムで現物取引又はレバレッジ取引を行う際のポイントは、「イーサリアムの購入方法は?DMM Bitcoinでの買い方を紹介」で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

イーサリアムを使った買い物には、「ウォレット(財布)」が必要

イーサリアムを手に入れた後、買い物をしたり、DAppsあるいはブロックチェーンゲームを利用したりしたい場合には、まず自分専用の電子的な財布「ウォレット」を用意する必要があります。ウォレットは、WEBサービス、あるいはパソコン用やスマートフォン用のソフトウェアなど様々な形態のものが公開されています。

どのようなイーサリアム用ウォレットがあるか、初心者でも扱いやすいものはどれかなどを関連コラム「イーサリアムのウォレットとは?定番ウォレットをまとめて紹介」で紹介していますので、参考にするといいでしょう。

イーサリアムの取引を行ううえでの注意点とリスク

最後に、イーサリアムを取引するうえでの注意点とリスクを整理しておきましょう。

スケーラビリティ問題

イーサリアムの人気が高まるに連れて、取引量が増えていきます。そうなると、処理が追いつかなくなり、送付遅延や手数料高騰という「スケーラビリティ問題」が発生します。

取引を行うたびに高額の手数料がかかったり、なかなか取引が承認されなかったりといった事態が生じる可能性があります。

しかし、PoSへの移行や今後のアップデートによってスケーラビリティ問題は改善されることが予想されています。

暗号資産(仮想通貨)取引の特徴に由来するリスク

また、一部の投資家が大量のイーサリアムを保有しているため、そのような大口投資家が連鎖的にほぼ同じタイミングで取引を行う可能性があります。そうなれば、価格が大きく変動すると予想されますが、一般的にイーサリアムを含むすべての暗号資産(仮想通貨)には、主に国内の株式市場で導入されている値幅制限(ストップ高/ストップ安)の仕組みがありません。値幅制限がないために、急激な価格変動によって損失が想定以上に膨らんでしまう可能性があります。

イーサリアムの取引を行う際は注意点とリスクを踏まえたうえで、余剰資金の範囲内で行いましょう。

まとめ

イーサリアムは日本でも人気が高く、ビットコインに次ぐ時価総額第2位の暗号資産(仮想通貨)です(2024年1月現在)。イーサリアムはDApps開発のプラットフォームであり、多くのアプリケーション上で、トークンが流通しています。

イーサリアムはNFTや分散型金融などの普及が進むに連れて、今後、ますます注目されることでしょう。しかし、スケーラビリティ問題などのリスクも把握しておかなければなりません。

今後もイーサリアムの取引をする場合は、十分な情報収集を行い、リスクを把握したうえで行う必要があるといえるでしょう。

イーサリアムのDAppsについて興味を持たれた方は「Dappsとは何か?イーサリアムが人気を牽引」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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