ビットコインやイーサリアムの技術基盤、ブロックチェーンとは?

ブロックチェーン
2019-12-11 更新

ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンは、企業や政府も注目しており、国内外で様々なユースケースが誕生しつつあります。今回は、そんなブロックチェーン技術の仕組みやメリット、課題を概観していきましょう。

ビットコインの基盤、ブロックチェーンとは?

金融機関のような信頼された第三者を置かずに、非中央集権型のデジタル通貨ビットコインを実現するための技術として、ブロックチェーンは考案されました。2008年10月31日にサトシ・ナカモトによる論文が公開され、ビットコインブロックチェーンが稼働し始めたのは2009年1月のことです。

ビットコインとブロックチェーンは同時に誕生したため、しばしば混同されますが、ビットコイン=ブロックチェーンではありません。ビットコインが起源であるものの、現在では様々なブロックチェーンが開発されるようになっています。その背景としては、ブロックチェーンが中央集権的な管理者を置かない代わりに、数学的な仕組みを用いて、二重支払いなどの不正ができず、改ざん耐性を持った分散型データベース(分散型台帳)を実現する技術であるからだといえるでしょう。

なお、ブロックチェーンという名前は、データの固まりである「ブロック」をチェーン(鎖)のようにつなげたデータ構造であることに由来しています。

ビットコインにおけるブロックチェーンの仕組み

ブロックチェーンは単一技術の名称ではなく、様々な技術や仕組みから成り立っています。

P2P(ピアツーピア)

まず、ブロックチェーンは「P2P(ピアツーピア)ネットワーク」を基本としています。P2Pは、通信ネットワークの構成方法のひとつです。ネットワークを構成するノード(コンピューターのこと)が直接繋がり合い、バケツリレーのようにデータを融通しています。

電子署名と公開鍵暗号方式

電子署名」は、自分しか知り得ないデータ(暗号鍵)を用いて、デジタルな署名をデータに施す仕組みです。データ(仮想通貨)の所有者であることを証明する方法として電子署名は機能しています。

また、電子署名は「公開鍵暗号方式」と呼ばれる暗号化方式をヒントに、発展・応用したものです。公開鍵暗号方式とは、「公開鍵」と「秘密鍵」のキーペアを用いて、データの暗号化や復号を行う技術のことです。公開鍵は誰に知られても問題ありませんが、秘密鍵は第三者に知られてはいません。電子署名では、秘密鍵を用いて署名を施しているからです。

ブロックチェーンの文脈では電子署名を付与することで、仮想通貨を送ったり、何らかの認証作業を行ったりするため、秘密鍵は紛失や盗難に気を付けてしっかり管理する必要があるのです。

ハッシュ関数、トランザクションとブロック

ハッシュ関数」はブロックチェーンに改ざん耐性を持たせる重要な仕組みです。関数とは、決められた手順・計算式によって計算結果を出力するものを指します。

任意の値を入力して、ハッシュ関数で変換すると得られる出力のことをハッシュ値といいます。ハッシュ値は入力値がわずかでも異なると、出てくる値は大きく異なるため、ハッシュ関数はデータの改ざん検出などに役立つのです。

そして、ブロックチェーンは、過去の取引を入力値としたハッシュのチェーンでもあるため、過去の取引を改ざんするとすぐに分かってしまいます。また、ハッシュ値から入力値を推測することはできません。

トランザクション」は取引データのことで、ブロックチェーン上で有効なトランザクションを作成するには、正しい電子署名が必要です。例えば、1BTCを送りたい場合は、自分の秘密鍵を使って電子署名を付与したトランザクションを作成しなければなりません。

ネットワーク上には、多数のトランザクションが絶えず送信されています。トランザクション群は「ブロック」というデータの固まりにまとめられ、電子署名やデータ構造の正当性が検証され、(問題がなければ)最終的にネットワーク全体の承認を得て、分散型台帳(ブロックチェーン)が更新されていきます。

マイナー、採掘報酬の関係

膨大な計算作業を行う事でブロックを生成しているのが、「マイナー」(採掘者)と呼ばれる特殊なノード(コンピューター)です。他のマイナーよりも早く計算を終えたマイナーは、最新のブロックを生成する権利を獲得します。

生成された最新のブロックはすべてのノードに検証され、問題がなければそのブロックは各ノードが管理する分散型台帳の最新のブロックとなります。そして同時に、ブロックを生成したマイナーは採掘報酬を獲得できるため、マイナーが計算資源を投下するインセンティブ(動機)となっているのです。

また、膨大な計算を行い、報酬を獲得するまでの一連のプロセスは「マイニング」(採掘)と呼ばれています。

マイニングにより不正を防止

ブロックチェーン上で不正な取引を行うには、マイニングプロセスに費やされている計算能力の過半数を独占する必要があります。このコストは膨大であるため、不正は極めて困難です。ビットコインネットワーク全体では、マイニングに伴うハッシュ計算が1秒あたり約1垓(がい)回も試行されています(1垓は1兆の1億倍)。

イーサリアムにおけるブロックチェーン

ビットコインは多くの技術者を魅了しました。その1人だったヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がビットコインの利点・欠点を踏まえて、考案したのが「イーサリアム」です。2013年のことで、彼は当時19歳の青年でした。

イーサリアムは、分散型アプリケーション(DApps)を開発するための汎用プラットフォームです。イーサリアムの登場によって、応用可能性が拡大したブロックチェーンはさらに注目を集めるようになりました。キーワードのひとつが「スマートコントラクト」です。

スマートコントラクト

スマートコントラクトとは、あらかじめ決められた条件に応じて自動執行されるプログラムのことです。ブロックチェーン以前からあるアイデアで、広義のスマートコントラクトの例としては自動販売機が挙げられます。充分なお金とボタンを押すという条件を満たせば、自動的に商品が出てくるためです。

ブロックチェーンにおけるスマートコントラクトは、条件に応じて自動執行され、改ざん耐性を持ったプログラムとして機能しています。不正が困難であるため、決済も含めた様々な取引を効率化できると考えられているのです。

パブリック型、プライベート型とコンソーシアム型

ビットコインやイーサリアムに代表される、不特定多数が参加可能なパブリック型のブロックチェーンは新しい仕組みを提示しました。改ざん耐性やスマートコントラクト、分散型台帳を実現する仕組みなどは企業にとっても魅力的なものの、情報がすべて公開されてしまうため、少々使いづらい部分があります。

そこで開発されたのが、情報の公開範囲をコントロールできるプライベート型のブロックチェーンです。単独の組織によって運営されるプライベート型のものと、複数の企業・組織によって運営されるコンソーシアム型のものが存在します。特にコンソーシアム型は、他社との協働による業務効率化や価値の共創に効果的だといえるでしょう。

企業がブロックチェーンに注目するメリット、理由とは?

企業がブロックチェーンに注目する理由はいくつか挙げられますが、主要なものをピックアップしていきましょう。

まず、特権的な管理者を置かずに、価値の保存・移転ができる対等なネットワークを構築できる点が挙げられます。パブリックチェーンであれば、ネットワークに承認されたデータは改ざん耐性を持つため、透明性の高い記録として役立つでしょう。

さらに、分散性が高いほど障害などによってシステムダウンが発生するリスクが低くなるため、コストを分散しつつシステムへの信頼を高められます。そして、スマートコントラクトによって、業務の効率化・自動化も期待できます。

ブロックチェーンで想定されているユースケース

ブロックチェーンで想定されているユースケースは多岐に渡ります。改ざん耐性があるため、例えば、身分証明書や学歴・職歴の証明書といった公証、不動産などの所有権管理、芸術作品の真贋(しんがん)判定などに利用可能です。また、ブロックチェーンで輸入品の流れを管理することで、偽造品対策とすることもできます。他にも証券取引などの金融領域で導入が進んでいます。

ブロックチェーンの課題

ブロックチェーンにはメリットだけでなく、いくつかの課題もあります。

処理速度

多くのパブリックチェーンは、トランザクション処理能力が高くありません。例えば、ビットコインの秒間処理能力は約7件、イーサリアムが約15件と、従来のシステムと比べてかなり低いのです。ただ、コンソーシアムチェーンでは処理能力の課題が改善されています。仕様次第ではあるものの、1秒あたり数百~数千件の処理が可能です。

ファイナリティ

パブリックチェーンの場合、取引が100%確定することはありません。これはファイナリティ(決済完了性)の問題として知られており、決済にどの程度の確実性を求めるかによっては問題視され得る課題です。

インセンティブ

マイニングに投下される膨大な計算資源は、ブロックチェーンのセキュリティの源泉となっています。膨大な計算をマイナーが行うインセンティブ(動機)は、マイニングに対する報酬であるため、仮想通貨の価格暴落などによって、マイニングのインセンティブがなくなるリスクは否定できません。

秘匿性の問題

パブリックなブロックチェーン上の情報は誰でもアクセスできるため、原則としてプライバシーがありません。秘匿性の問題は透明性の高さと表裏一体ですが、少なくとも企業が使うプラットフォームとしては適切ではない場合が多いでしょう。

ガバナンス

パブリックチェーンのアップデートは、開発者コミュニティや多くのマイナーの合意を必要とします。したがって、合意形成が困難な場合やアップデートの計画が遅延する場合が少なくありません。

どのようにパブリックチェーンを開発していくのかは、ガバナンスの問題として知られており、開発の方向性に関して合意できない場合は、ブロックチェーンのフォーク(分岐)に発展することがあります。非中央集権的であるがゆえに、コントロールできないのです。

まとめ

ビットコインを実現するための技術としてブロックチェーンは考案されました。ブロックをチェーンのように接続するデータ構造からブロックチェーンと呼ばれています。

現在ではブロックチェーンは多様化しており、分散型アプリの開発プラットフォームであるイーサリアムなどが、ブロックチェーンの応用可能性を拡張させています。改ざん耐性があり、スマートコントラクトや分散型台帳を実現する技術は企業にも注目されており、今後も様々なユースケースが登場するでしょう。

スマートコントラクトについて興味を持たれた方は「ブロックチェーンで自動契約!スマートコントラクトの事例と仕組み」もご参照ください。

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