ブロックチェーンとは?ビットコインやイーサリアムの技術基盤

ブロックチェーン
2023-06-28 更新

ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は、「ブロックチェーン」という技術を利用して発行されています。ブロックチェーンは暗号資産以外にも、デジタルアートや商品の流通の可視化など、幅広い分野で活用されています。この記事では、ブロックチェーンの仕組みや特徴について、「初めてブロックチェーンという言葉を聞く」という方にもわかりやすく解説します。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは同じ取引データを多くの人が「分散」してデジタル上で管理する「台帳」のようなものです。取引記録を「ブロック」という塊にまとめ、そのブロックがチェーン(鎖)状につながったデータベース(台帳)のような形をしています。このデータベースを銀行などの特定の管理者を置かずに不特定多数で分散して管理することからブロックチェーンは「分散型取引台帳」と呼ばれます。

ビットコインやイーサリアム(ETH)などの暗号資産(仮想通貨)は銀行や政府など、特定の管理者を必要とせずに発行されることが特徴ですが、ブロックチェーンはこの暗号資産を発行・取引する上でなくてはならない技術です。

しかし、管理者がいない場合にはデータが書き換えられるといった改ざんが行われる危険があります。ブロックチェーンは「特定の管理者を置くことなく、データの改ざんがされないこと」を実現できる技術であると覚えておきましょう。

ブロックチェーンの仕組み

通常、私たちの生活において、銀行が預金を管理しています。銀行は中央サーバーで顧客の残高や出入金記録が書かれたデータを管理しており、ハッキングやサーバーの改ざんといった不正が行われないように、莫大な資金を使い、サーバーを守るための強力なセキュリティを施しています。

一方で、特定の管理者がいない暗号資産(仮想通貨)は、銀行や金融機関が集中管理しているわけではなく、何万人というユーザーが、取引記録が記録されている同じ台帳(ブロックチェーン)を世界中のあらゆるところでバラバラに「分散」して管理します。

ユーザーが同じ台帳を保有して、内容が正しいか検証しているため、誰か一人がデータを改ざんしても、他の人のデータと異なることがすぐに判明し、不正が行われたことがわかる仕組みになっています。

改ざんするには他のすべての人が持つ台帳データの過半数を書き換えて正当性を主張する必要があります。莫大な電力費用や手間を考えると、現実的ではありません。中央サーバーがなく、記録が世界中で管理されているため、システムダウンを防ぐことができるという利点もあります。

実際にビットコインは2009年の誕生以来、一度もデータの改ざんはされておらず、分散管理されていることからシステムダウンといった問題も起きていません。

つまり、ブロックチェーンの利点として、「情報の改ざん耐性」「安価なセキュリティコスト」「システムがダウンしないこと」が挙げられます。

前述したように、銀行では中央サーバーの不正を防ぐために強力なセキュリティコストを支払っています。そのコストを回収するために利用者の手数料が高くなりますが、ブロックチェーンでは中央管理者がいないためにコストを抑えることができ、送金手数料を安価にできます。

低コストで改ざん耐性がある仕組みが注目され、ブロックチェーンは金融以外の分野でも利用が拡大しています。

マイニングとは

改ざんを防ぐために、ユーザーによって検証が行われているブロックチェーンですが、ユーザーはただボランティアで取引を管理・検証しているわけではありません。取引の検証が分散的に行われるために、検証に対する金銭的な対価といったインセンティブの仕組みが組み込まれています。

ブロックチェーンでは、ある特定の計算式を解くことで、取引データが入っている「ブロック」をつなぎます。この計算作業を解き、ブロックをつなぐことを「マイニング(採掘)」と呼びます。

計算式を解くことで、取引記録が確定し、次のブロックをつなげられるようになります。そして、その計算式をいち早く解いた人にビットコインといった暗号資産(仮想通貨)が報酬として支払われる仕組みになっています。

このマイニングが前述した改ざん耐性を高めている要因でもあります。マイニングでは、高性能なコンピューターを持つ複数の組織がビットコインを得ようと、熾烈な計算競争を繰り広げています。ブロックチェーンを改ざんするには、この計算競争を勝ち抜く必要があります。世界中で高度なコンピューターでマイニングを行われているために改ざんは非常に難しくなっています。

さらに、ブロックチェーンを改ざんするよりもマイニングを行った方が、金銭的対価が大きいために、改ざんをするメリットがないように設計されています。

暗号資産(仮想通貨)以外のユースケース

簡単には改ざんされないというブロックチェーンの特性は、暗号資産以外にも幅広く活用されています。具体的にどのように使われているかを解説します。

ゲーム

「ブロックチェーンゲーム」は、カードゲームやレースゲーム、アクションゲーム、RPGなど幅広いジャンルのゲームが作成されており、一見しただけでは一般的なパソコン用オンラインゲームと区別がつかないほどです。

一般的なオンラインゲームとの大きな違いが、ゲーム内のデジタルアイテムが固有の価値を持つことです。ブロックチェーン技術を活用したNFT(ノンファンジブル・トークン)という技術によって、デジタルアイテムに固有の証明書のようなものが付与できます。これによって、例えばゲームを開発したゲーム会社が倒産したとしても、ブロックチェーン上にアイテムのデータが保持され続けます。この特徴から、異なるゲーム間でアイテムを交換することが可能であり、ゲームアイテムを売買する市場も生まれています。

トレーサビリティ

トレーサビリティとは、製品の生産から消費までの過程を可視化し、追跡することです。

物流における各過程をブロックチェーンに記録することで、データの偽造や改ざんを防ぐことができます。情報の透明化や改ざん耐性によって、生産過程の情報が価格に大きな影響を与える商品の情報を証明することができます。

証明書

契約書や卒業証明書の情報真贋にブロックチェーンを使うことができます。契約書や証明書を電子的に記録した場合に、発行日時や内容の改ざんがされていないことをブロックチェーンで保証できるためです。

アメリカやマレーシアでは実際に、一部の大学が学位を管理するプロジェクトが進行しています。学歴の改ざんを防げる他に、大学側が学位に対する問い合わせへの対応を減らすことができるといった利点が挙げられるでしょう。

ブロックチェーンの種類

ビットコインとブロックチェーンは同時に誕生したため、しばしば混同されますが、ビットコイン=ブロックチェーンではありません。ビットコインが起源であるものの、現在では様々なブロックチェーンが開発されるようになっています。

有名なものの一つが2013年に開発された「イーサリアム」です。イーサリアムからは、管理者なしで金融サービスを提供する分散型金融(DeFi)やデジタルデータに唯一性を持たせるNFTなど、注目を集めるサービスが生まれています。イーサリアムの登場によって、応用可能性が拡大したブロックチェーンはさらに注目を集めるようになりました。

この他にも多くのブロックチェーンがありますが、ブロックチェーンの仕組みで大きく「パブリックチェーン」、「プライベートチェーン」、「コンソーシアムチェーン」に分けられます。

パブリックチェーンは特定の管理者がおらず、参加者に制限もありません。ビットコインやイーサリアムなどほとんどの暗号資産はこのパブリックチェーンに分類されます。一般的にブロックチェーンといえば、このパブリックチェーンを指すことがほとんどです。

プライベートチェーンは単一の管理者が存在し、チェーンへの参加も許可制です。そのため、透明性が低く、分散的性格も薄れますが、参加者が限られることで、取引が早く行えるというメリットがあります。ただし、意図的にデータが改竄される可能性があるというデメリットもあります。金融機関など特定の企業や組織で採用されています。

コンソーシアムチェーンは複数の管理者がいるチェーンです。限られたユーザーしか参加できないという点はプライベートチェーンと同じです。しかし複数の管理者がいるという点でプライベートブロックチェーンよりは透明性が高いことが利点です。そのためにデータの改ざんも起こりにくいといえます。パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間の性格を持つといえるでしょう。

ブロックチェーンの課題

ブロックチェーンにはメリットだけでなく、いくつかの課題もあります。

処理速度

近年はトランザクション処理能力の高いパブリックチェーンが台頭してきているものの、一般的なパブリックチェーンは、トランザクション処理能力が高くありません。例えば、ビットコインの秒間処理能力は約7件、イーサリアムが約15件と、従来のシステムと比べてかなり低いのです。ただ、コンソーシアムチェーンでは処理能力の課題が改善されています。仕様次第ではあるものの、1秒あたり数百~数千件の処理が可能です。

ファイナリティ

パブリックチェーンの場合、取引が100%確定することはありません。これはファイナリティ(決済完了性)の問題として知られており、決済にどの程度の確実性を求めるかによっては問題視され得る課題です。

インセンティブ

マイニングに投下される膨大な計算資源は、ブロックチェーンのセキュリティの源泉となっています。膨大な計算をマイナーが行うインセンティブ(動機)は、マイニングに対する報酬であるため、暗号資産(仮想通貨)の価格暴落などによって、マイニングのインセンティブがなくなるリスクは否定できません。

秘匿性の問題

パブリックチェーン上の情報は誰でもアクセスできるため、原則としてプライバシーがありません。秘匿性の問題は透明性の高さと表裏一体ですが、少なくとも企業が使うプラットフォームとしては適切ではない場合が多いでしょう。

ガバナンス

パブリックチェーンのアップデートは、開発者コミュニティや多くのマイナーの合意を必要とします。したがって、合意形成が困難な場合やアップデートの計画が遅延する場合が少なくありません。

どのようにパブリックチェーンを開発していくのかは、ガバナンスの問題として知られており、開発の方向性に関して合意できない場合は、ブロックチェーンのフォーク(分岐)に発展することがあります。非中央集権的であるがゆえに、コントロールできないのです。

まとめ

ビットコインを実現するための技術としてブロックチェーンは考案されました。ブロックをチェーンのように接続するデータ構造からブロックチェーンと呼ばれています。ある一箇所で集中管理するのではなく、世界中で分散管理する仕組みを持つことで、管理コストが安く、データの改ざん耐性が高いといった利点があります。

現在ではブロックチェーンは多様化しており、分散型アプリの開発プラットフォームであるイーサリアムなどが、ブロックチェーンの応用可能性を拡張させています。今後も様々なユースケースが登場するでしょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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