ビットコインのマイニングが価格変動に影響?その理由は難易度調整

ビットコイン
難易度調整
2019-10-30 更新

ビットコインの価格変動に影響を与える一因として、マイニングの難易度調整が挙げられます。ビットコインにおいてマイニングは、取引の正当性証明やビットコインの新規発行などの重要な役割を担っており、その実態は熾烈な計算競争です。そして、マイニング計算の難易度は約2週間ごとに調整されており、この難易度調整がビットコインの価格に影響を与えることがあります。本記事ではビットコイン価格と難易度調整について解説していきます。

ビットコインのマイニング(採掘)と難易度調整

ビットコインの「マイニング」(採掘)で行われる計算では、平均して10分に1回の頻度で計算問題の正解が導き出せるように難易度が調整されています。難易度調整する理由の1つは、ビットコインが新たに発行される頻度を一定に保つことです。もし、発行スピードが速くなり、ビットコインの供給量が過剰になれば、通貨のインフレーションを招く可能性があります。

マイニングの難易度調整は、ビットコインのプログラムによって定められた計算式に基づいて、約2週間に1回の頻度で自動的に行われています。後述するように、マイニングの難易度をリアルタイムで確認できるサービスが提供されているため、難易度が与える市場への影響を読み取れる場合があるのです。

ビットコイン価格とマイニングの難易度調整について解説する前に、まずはマイニングの基礎を理解しておきましょう。

ビットコインのマイニングの基礎知識

まずはビットコインのマイニングに関する基礎知識を紹介していきます。

マイニングの仕組みを把握する

ビットコインは、政府や金融機関に依存しない非中央集権型のデジタル通貨です。ビットコインを複製して、異なる相手に二重で支払う問題などを防ぐために、ビットコインでは分散ネットワークに参加している「ノード」によってその取引(トランザクション)の正当性が検証されています。なお、ノードとはコンピューターのことです。

ビットコインのトランザクションは、「マイナー」(採掘者)と呼ばれる種類のノードによって「ブロック」というデータの固まりにまとめられていきます。各トランザクションはブロックに取り込まれる過程で、その正当性が検証されます。そして、平均10分に1回ブロックが作られるビットコインでは、ブロック生成に成功したマイナーは採掘報酬としてビットコインを獲得できます。要するに、マイニングというプロセスは、ネットワークのトランザクションの正当性を検証するだけでなく、ビットコインの新規発行という役割も担っているのです。

なお、マイニングには膨大な計算を必要とします。労力を割いて報酬を獲得する流れを、鉱山労働者が鉱物を採掘する様子に例え、「マイニング」(採掘)と呼んでいます。

マイニングに関する計算の詳細

マイニングではハッシュ関数の入力値を変更しながら「条件を満たした出力値(ハッシュ値)」を得るまでハッシュ計算が繰り返されます。ハッシュ関数とは、入力値をわずかでも変えるとまったく異なる出力値が算出され、出力値から入力値を推測(逆算)できない「一方向性」を持つ関数です。

マイニングでは、入力値を構成する要素のひとつである数値「ナンス」(nonce)をランダムに変えながら、「条件を満たした出力値(ハッシュ値)」を得るまでハッシュ計算が繰り返し行われます。ハッシュ関数の性質上、ナンスが変われば出力値は大きく変わるので、どのような出力値が出てくるかは誰にも予想できません。無事に条件をクリアするような「正解の数値」(ナンス)を見つけられれば、ブロックの生成に成功します。

ただし、採掘報酬を得るにはこの正解を世界一速く見つけなければなりません。世界各地のマイナーたちがビットコインの計算競争に参加しており、ネットワーク全体では1秒あたり約9000京回もの膨大なハッシュ計算が行われています(2019年9月20日現在)。

マイニングにおける難易度調整の詳細を探る

それでは、難易度調整の詳細を解説していきます。なぜ難易度調整という仕組みが存在しているのでしょうか?

難易度調整の間隔は2週間に1回と決まっている

マイニングでは、ナンスを見つける難易度「ディフィカルティ」(Difficulty)が設定されており、平均して10分に1回の間隔でブロックが生成されるように自動調整されています。直近2週間のブロック生成時間の平均値が10分よりも長い場合はディフィカルティが下がり、逆の場合はディフィカルティが上がる仕組みになっています。したがって基本的には、ネットワーク全体の1秒あたりのハッシュ計算速度である「ハッシュレート」(採掘速度)が上昇するほど、ディフィカルティは上昇していくのです。

2009年末の時点で「1」だったディフィカルティは難易度調整を繰り返し、2019年9月20日時点で「約11兆8900万」にまで上昇しています。約10年間でいかにビットコインの採掘難易度が上がったかが分かるのではないでしょうか?

難易度調整を行う理由

ビットコインで難易度調整が行われている理由の1つとしては、ビットコインの新規発行を一定のペースに保つためだと考えられています。もし、ブロック生成速度が速くなり、ビットコインが過剰に新規発行されてしまうと、インフレーションを招く恐れがあるのです。難易度調整はこれを避けるための措置だといえるでしょう。

2019年は難易度の上昇が継続している

ビットコインの難易度調整の状況は、「Blockchain」という企業が提供している仮想通貨関連の統計情報サービス内の「Difficulty」(難易度)というグラフで確認できます。ビットコインの難易度調整は2週間に1回と決まっているため、難易度調整の推移は階段状のグラフとして表示されます。グラフによれば、2019年1月14日に行われた調整では難易度が引き上げられており、2019年を通して難易度の上昇が続いている状態です(2019年10月現在)。

それでは、DMM Bitcoinの「ビットコイン/円のリアルタイムチャート(相場)・レート(価格)」にあるチャートを確認しつつ、ビットコイン価格と難易度調整との関係を探ってみましょう。

難易度調整で、どのような影響が起こるのか?

ビットコインの難易度調整は、マイナー数の増減や相場にも影響を与える可能性があります。難易度調整による影響や2018年の推移を解説していきます。

2018年の難易度調整

2018年はビットコインの難易度が大きく上下した1年でした。2017〜2018年初頭のビットコイン価格高騰を受けてマイニングに参入する事業者が増加し、マイニング競争が激化していたため、難易度も上昇していきました。しかし、2018年2月頃からビットコイン価格が下落していくと次第に採算が合わなくなり、(価格下落から数ヵ月程度の時間差で)マイニング事業者が撤退し始めます。撤退に伴いハッシュレートも下がっていき、2018年11〜12月には難易度が下落しました。

難易度調整の影響を検討する

難易度調整が行われると、市場環境にどのような変化があるのでしょうか?ここでは「マイナー」と「相場」という2つの観点で整理していきます。

マイナーへの影響

マイニングは難易度が上昇するほど、要求される計算速度も上がっていきます。当然ながら、熾烈な計算競争に勝つには、より高性能なコンピューターを競合マイナーよりも多く揃えなければなりません。したがって、難易度が上がるほどマイニングコストも上昇していくのです。

2019年1〜9月の期間は難易度がほぼ一貫して上昇し続け、過去最高を更新しています。マイニングコストは上昇し続けており、事業としてマイニングを行っている企業の利益を圧迫している可能性もあります。難易度上昇がビットコイン価格の下落と同時だった場合、ビットコインのマイニングから撤退する事業者もいることでしょう。なお、撤退した事業者は同じコンピューターでマイニングできる他の仮想通貨に計算資源を割り当てるかもしれません

このように、ビットコインの難易度調整はマイニングに参加するマイナー数の増減に大きく影響を与えるのです。

相場への影響

マイニングの難易度が上昇し続けている時にマイナー数が減少した場合、要求される計算速度に対して、マイナーが供給するハッシュレートが過小になり、トランザクションの承認速度が遅延する恐れがあります。マイナーに支払う手数料への影響もあるかもしれません。そして、ビットコインを購入する人が減少したり、損失を被ったマイニング事業者がビットコインを売却して損失を補填したりするなどの売り圧力から、ビットコイン価格の下落に繋がる可能性もあるのです。

ビットコインの難易度調整と価格変動は直接連動しているわけではないものの、取引を行うタイミングの判断材料にはなりえるため、市場環境を見極める必要があります。

難易度の変動で価格が上昇した場合

ビットコインの現物取引で価格が上昇傾向にある場合は、ビットコインを購入する良いタイミングかもしれません。このタイミングでは、レバレッジ取引でビットコインに買い注文を入れ、細かく売買することで、利益を獲得できる可能性があります。

ただし、レバレッジ取引は手元の資産よりも大きな金額を動かすためリスクも高く、値動きによっては投資額を上回る損失が発生するリスクがあります。レバレッジ取引の際には余剰資産で十分に注意して行いましょう。

難易度の変動で価格が下降した場合

価格の下落傾向が続く場合は、損失が大きくならないように保有ビットコインを売却する「損切り」の判断をするタイミングです。あるいは、DMM Bitcoinのレバレッジ取引では、「売り注文」から取引を始められるので、レバレッジをかけながら新規注文(売り注文)を出し、さらに価格が下がった段階で決済注文(買い)を出して利益を狙うこともできます。

また繰り返しになりますが、レバレッジ取引では投資額を上回る損失が発生するリスクがあります。余剰資産の範囲内で取引する意識は欠かせません。

まとめ

ビットコインにおけるマイニングの難易度調整は、マイナー数の増減や、ビットコインの価格に影響を与えうる要因の1つとなっています。マイニングの基本的な仕組みを理解した上で難易度調整やマイニング事業者の収益構造を理解しておくと、価格動向を推察する際の参考になります。

DMM Bitcoinでビットコインの現物取引やレバレッジ取引を行う際には、難易度調整のようなビットコインに関するさまざまな情報を基にしつつ、余剰資産の範囲内で行っていきましょう。

マイニングについて詳しく知りたい方は「ビットコインのマイニング(採掘)とは? 個人でのやり方や仕組みを解説」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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