イーサリアムとビットコインの違いは?特徴や仕組みから解説

イーサリアム
ビットコイン
違い
2022-02-09 更新

イーサリアム(ETH)はビットコイン(BTC)と目的や用途が大きく違う暗号資産(仮想通貨)です。ビットコインが価値の交換や保存といった決済用途がメインであることに対し、イーサリアムはプラットフォームとしての利用が想定されています。イーサリアム独自の特徴を理解して、情報収集を進めていきましょう。

ビットコインとイーサリアムは何が違う?

ビットコインとイーサリアムは、目的や用途がそれぞれ大きく違う暗号資産(仮想通貨)です。どちらがより優れている、より劣っているというわけではなく、それぞれの特徴に合わせた活用が進められています。まずは簡単に両資産の最も大きく異なる点を解説します。

ビットコインは価値の交換や保存に便利

ビットコインは、本名かどうかも含めて正体が不明なサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)によって基本仕様が公開され、世界で初めて実装された暗号資産です。ビットコインは価値の交換や保存に向いており、決済手段としても用いられます。暗号資産の中では世界で最もメジャーで、時価総額も第1位の状態が続いています。(2021年10月現在)

イーサリアムはワールドコンピューター

イーサリアムは、「ワールドコンピューター」とも称されています。
暗号資産というだけでなく、パソコンやスマートフォンのOS(オペレーションシステム)のような働きが想定されています。イーサリアムの技術基盤となっているブロックチェーンはプラットフォーム型と呼ばれており、その上で多様なアプリケーションを構築し動かせます。そのため、分散型ゲームや分散型SNS等の他、分散型金融(DeFi)を構築するためにも用いられています。

ビットコインとイーサリアムを比較する

暗号資産(仮想通貨)としてのビットコインとイーサリアムを比較してみましょう。価値の保存手段とプラットフォーム型ということ以外に、それぞれ開発された背景や思想が異なることが分かります。

ビットコインのポイント

ビットコインは数多くある暗号資産の銘柄において、時価総額第1位で推移しており、暗号資産の代表格と言えます。(2021年10月現在)

ビットコインの考案者は、前述の通りサトシ・ナカモトです。サトシ・ナカモトは、暗号学のメーリングリストに突如ビットコインの設計図に当たる論文を公開しました。サトシ・ナカモトが個人なのか、グループなのかさえ今も明らかになっていませんが、その内容に共感した有志のエンジニアたちによって具体的なビットコインとして実装されました。そのため運営主体は存在しませんが、開発コミュニティは存在し、現在も積極的な開発が進められています。

ビットコインのマイニング(採掘)等に利用されているコンセンサスアルゴリズムは、「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)」と呼ばれるもので、1ブロック承認時間は約10分になっています。発行上限数量は2,100万BTCです。

単位としては、BTCだけでなく、最小単位として「Satoshi(サトシ)」が存在します。1satoshiは1BTCの1億分の1、つまり「1satoshi=0.00000001BTC」です。暗号資産交換業者でビットコイン取引を行う上では、この単位を目にする機会は少ないかもしれません。しかし、ビットコインのブロックチェーン上では「1satoshi」(=0.00000001BTC)単位が基準となっています。

イーサリアムのポイント

イーサリアムは、時価総額第2位(2021年10月現在)で推移しています。ビットコイン以外の暗号資産の総称として「アルトコイン」という言葉が用いられており、イーサリアムはその代表格です。

イーサリアムの考案者はヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)という人物です。彼は若干19歳の時にイーサリアムを開発しました。現在はイーサリアム財団(Ethereum Foundation)が開発主体となっています。

イーサリアムでは、ビットコインと異なり発行上限数量は定められていません。ただし、将来的には上限が決まる可能性もあります。

コンセンサスアルゴリズムは、2021年10月時点ではビットコインと同じPoWですが、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)へ移行するためのイーサリアム2.0の開発が行われています。PoSに移行することでマイニングにかかる電力消費が抑えられる他、ガス代(手数料)高騰といった問題の解決につながることが期待されています。

イーサリアムの単位はETH(イーサ、ether)です。また、最小単位は「wei」で、1etherが100京weiというレートになっています。「10億分の1ETH」(10億wei)にあたる「gwei」(1gwei = 1,000,000,000 wei = 0.000000001ether)が利用される場合もあります。

なおgweiは、情報理論の考案者として知られる数学者クロード・シャノンにちなみ、Shannonというニックネームが付けられています。

イーサリアムの特徴や今後

上記のように、ビットコインとイーサリアムでは目的や仕組み等が異なります。特にイーサリアムについて、より詳しく見ていきましょう。

最大の特徴は「プラットフォーム」

イーサリアムについて語る際は、暗号資産(仮想通貨)としての側面だけでなく、独自にトークンスマートコントラクトを開発できる「プラットフォーム」である点です。すでに紹介した通り、イーサリアムはパソコン等のOSのような働きをするものであり、そのブロックチェーンの上でアプリケーションを構築・稼働させることが可能です。さらにイーサリアム上で発行されたトークンは、代表的な規格であるERC-20だけでも45万種類を超えています(2021年10月時点)。

あらゆる取引を自動実行する「スマートコントラクト」

イーサリアムがプラットフォームとして利用できるのはなぜでしょうか?それは、仲介者を必要とせず、取引(契約)を自動実行し、ブロックチェーンに履歴を記録できる仕組みを備えているからです。この仕組みをスマートコントラクトといいます。ボタンを押すと、飲み物を自動で販売する自動販売機等を思い浮かべるといいでしょう。

スマートコントラクトは新しい概念ではなく、元は1990年代から提唱されていた概念や技術でしたが、ブロックチェーンの高い耐改ざん性をはじめとする特徴も相まって、さらに実用面で踏み込んだ利用が可能になったことで注目を集めました。

実際にイーサリアム上でスマートコントラクトを実装する際は、専用のプログラミング言語である「Solidity(ソリディティ)」を使うことが多いです。現在では、Python(パイソン)というプログラミング言語によく似た言語Vyper(バイパー)も存在します。

応用としてDeFi(分散型金融)やDApps(分散型アプリケーション)

イーサリアムからはDeFiや分散型アプリケーション(DApps)等、次々と新しいサービスが生まれています。

DeFiは「分散型」という言葉の通り、中央集権的な管理者なしで金融サービスを提供する仕組みのことをいいます。スマートコントラクトを利用することで銀行等の管理主体なしでもレンディングをはじめとした金融サービスを可能にしています。

一方で、ブロックチェーン上で稼働しているアプリケーションは分散型アプリケーション(DApps)と呼ばれています。

DAppsゲームでは、ゲーム内で獲得したアイテムや育てたキャラクターが資産となるという、従来にはなかったゲーム体験ができることが注目を集めています。これは、ブロックチェーンによって資産の保持や譲渡がデジタル世界でもできるようになったことが大きな理由です。ゲームの垣根を超えて、キャラクターやアイテムが利用できるコラボも行われており、より広がりが生まれそうな予感を感じさせます。

大規模なアップグレードが進行中

イーサリアムは、当初から大規模なアップデートが段階的に実行されるよう予定されていました。このような大規模アップデートは機能向上という点で大きなメリットがありますが、価格変動のリスクとなる可能性もあるため、イーサリアムの取引を行っている方は十分に情報収集を行う必要があるでしょう。

順調に進行中のイーサリアム2.0

イーサリアム2.0(セレニティ)のアップデートは、4段階に分けてアップグレードされます。2021年10月時点では最初の段階であるフェーズ0が進行中です。

このアップデートにおける最大の変化は、コンセンサスアルゴリズムを従来のPoWからPoSに移行し、拡張性を確保するという点です。

イーサリアムはプラットフォーム型のブロックチェーンのため、そのブロックチェーン上で稼働するアプリケーションで発生する多くのデータを処理する必要があります。しかし、多くのブロックチェーン、特にPoWを採用しているブロックチェーンはスケーラビリティ問題という欠点を抱えています。

この問題は、処理データが増えれば増えるほどに、処理されないデータが増加してしまい、手数料の高騰やトランザクションの遅延が発生してしまうというもので、プラットフォームとしてのイーサリアムにとっては、解決すべき重要課題の1つです。

また、イーサリアム版サイドチェーンである「Plasma(プラズマ)」や、マイニングを効率化する「Sharding(シャーディング)」等さまざまなプロジェクトも同時進行で進んでいます。

サイドチェーンとは、メインになるブロックチェーンとは別のブロックチェーンを用意し、処理を効率化する技術で、スケーラビリティ問題の解決や性能向上を目指しています。そのため、今後の開発動向にも大きな注目が集まっています。

過去の大規模アップグレード

イーサリアムでこれまで実施された大規模アップデートはいくつかありますが、最初に実施されたのは2015年7月のフロンティアでした。その後、2016年3月のホームステッドが実施され、メトロポリスと続きました。メトロポリスは2017年10月実施のビザンチウム、2019年2月実施のコンスタンティノープル、サンクトペテルブルクと複数回に分けて実施され、2020年12月には最終段階の「セレニティ」が実行されました。このセレニティがイーサリアム2.0と呼ばれています。

まとめ

ビットコインは価値の交換や保存に便利な存在で、イーサリアムは独自ソフトウェアを開発できるOSのようなプラットフォームである点が大きな違いです。どちらがより優れている、あるいはより劣っているかという視点ではなく、開発された目的や用途が異なる点に着目する必要があります。イーサリアムについて知りたい場合は、プラットフォームであることや、その上で動作するスマートコントラクトやDAppsの動向も意識した情報収集を行いましょう。

また、イーサリアムは、機能向上のため複数回の大型アップデートが過去に実施されており、今後も同様のアップグレードが予定されています。イーサリアムはまだまだ発展途上の技術でもあり、今後のアップデートに大きな期待が寄せられているのも事実です。アップデート自体が価格変動のリスクとなる可能性があるため、取引を行う際は最新情報の収集を行うようにしましょう。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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