ビットコインのマイニングプールとは?
マイニングプールは、ビットコイン(BTC)で主流となっているマイニング(採掘)方法です。マイニングは、成功報酬としてビットコインを得られますが、ビットコインの価格が上昇するにつれて、個人では難しくなってきています。そこで集団で協力してマイニングを行うマイニングプールが主流となっています。
本記事ではマイニングプールの特徴や参加するための手続き方法について解説します。
マイニングとは
マイニング(採掘)とは、ビットコインの取引がまとまった「ブロック」というデータを生成し、不正がないかを確認する膨大な計算作業のことを指します。そしてマイニングを行なった報酬として新たに発行されたビットコインを受け取ることができます。マイニングプールについて知るためには、このマイニングの仕組みについて理解する必要があります。
日本円やドルなどの法定通貨はその国の中央銀行(日本であれば日本銀行)が管理していますが、ビットコインには特定の管理者がおらず、マイニングを実施する不特定多数のマイナー(採掘者)により取引が管理されています。
ビットコインではこれまでの取引記録がすべて管理されていますが、その取引台帳データのことをブロックチェーンと呼びます。マイニングは、このブロックチェーンの整合性を管理するために行われます。
マイニングを行うと、マイナーは報酬としてビットコインを受け取ることができますが、ただ作業を行えば報酬をもらえるというわけではなく、必要な演算と取引処理を最も早く行った人だけが報酬をもらえる仕組みとなっています。
そのため、報酬を受け取るためには高性能なコンピュータが必要です。しかも、ビットコインの価値高騰に伴い、企業を含めマイニング参加者が増えていった結果、マイニングに求められるコンピュータの性能はどんどん上がっていき、競争が厳しくなっています。
ビットコインにおけるマイニングプールとは?
過去には個人でマイニングを行うことも可能でしたが、現在は上記のような理由から、個人ではほとんど不可能になっています。そこで主流となっているのがマイニングプールです。
集団でマイニング
マイニングプールは複数のノードが協力してマイニングを行う集団のことを指します。
ノードとは、ビットコインのネットワークに接続しているパソコンやスマートフォンなどの端末のことです。ノードの中でもマイニングに参加するノードをマイナーと呼んでいます。ビットコインが誕生した2009年当時からマイニングプールという概念は存在していたものの、当時は個人でマイニングを行うケースが大半でした。2021年12月現在に比べてマイニングに参加する人が多くなく、個人でも充分にマイニングが可能だったからです。
その後、ビットコインのマイニングに参加する人が増え、マイナー同士の競争が激化し、個人でマイニングすることが非常に難しくなったことから、マイニングプールが多く利用されています。
マイニングプールに参加するメリット・デメリット
ビットコインを含む仮想通貨のマイニングプールに参加するメリットは、個人で行うマイニング(ソロマイニング)とは異なり、複数人でマイニングするため報酬を得やすいという点にあります。
また、ソロマイニングでマイニングを行うには相当高性能なパソコンを用意する必要があり、マイニング専用として常時稼働し続けるのが一般的です。一方、マイニングプールでは、家庭にある一般のパソコンでマイニングに参加することができるうえ、パソコンの演算機能の一部を使うだけで良いため気軽に参加できます。
しかし、マイニングプールにはデメリットもあります。それは、ソロマイニングと比べて報酬が少なくなることです。
マイニングプールでは、貢献度(=提供した演算処理能力)に応じて参加したマイナーへ報酬が分配されるため、ソロマイニングのように多額の報酬を得ることはできません。
また、マイニングプールにおける貢献度は、パソコンのハッシュレートと呼ばれる処理性能とほぼ比例するので、仮に自分が参加しているマイニングプールでマイニングに成功したとしても、自分のパソコンの処理性能が低く、マイニングの貢献度が低ければ報酬は少なくなります。安定した収益を得ることはできますが、大きな報酬を期待することはできないかもしれません。さらに、参加するマイニングプールを選ぶことなど、ある程度のマイニングに関する知識は必要になります。
報酬の仕組み
マイニングプールでは参加者の集まりのことをプールと呼びます。マイニングプールでマイニングを成功させた時には、プールの管理者がまず報酬を受け取ります。そしてそのプール管理者に支払われた報酬は、参加者のマイニングでの仕事量に応じて分配されます。
マイニングプールでの報酬の分配方法にはいくつかありますが、代表的な方法としてPPS(Pay Per Share)とPPLNS(Pay Per Last N Shares)があります。
PPS(Pay Per Share)
PPSは、「ハッシュレート×稼働時間(シェア)」の比率に基づいて、マイニングプール管理者から各マイニングリグ(マイニング機器)に報酬が配分される方法です。そのため、マイニングプールでマイニングが成功しなかった場合でも、稼働しているマイニングリグがある場合には報酬は支払わなければならないため、運営側にとってはリスクの高い方式です。
PPS には、トランザクション手数料も報酬に含めるFPPS(Full Pay Per Share)という方式もあります。
PPLNS(Pay Per Last Shares)
PPLNSは、報酬が発生じた時点から過去の一定時間内に提供した稼働時間(シェア)に基づいて報酬を配分する方法です。「報酬発生時点から過去の一定時間」としているのは、マイナーが別のマイニングプールに移ってしまうのを避けるためです。運営側にとっては、長くマイナーに接続してもらったほうがマイニングは成功しやすくなります。
また、PPSとは異なり、報酬が発生した時点で計算するため運営側にとってもリスクが低い方式です。
マイニングプールに参加する方法
マイニングプールに参加するには、以下の3つを用意する必要があります。
- パソコン
- ウォレット
- マイニングソフト
それぞれ詳しく見てみましょう。
パソコン
マイニングプールに参加するためには、パソコンが必要になります。ビットコインのマイニングに使うパソコンには演算や制御の中心となるデバイスが搭載されており、CPUやGPUの他にマイニングに特化したASICの3つが主に使われます。
CPUは演算を行うパソコンの装置のことで、一般的なパソコンを持っていればマイニングプールに参加することは可能です。
GPUはグラフィックボード(画像や映像の処理を専門とする装置)のことで、CPUより高い演算処理能力があります。マイニングに適したGPUなどが販売されており、CPUよりもGPUを使う方が効率的なマイニングが行えます。
ASICはマイニングのために設計された集積回路です。2013年に中国のハードウェアメーカーから初めて登場したASICは、チップサイズが当時130ナノメーターでした。しかし、2021年9月時点では10ナノメーター以下まで小さくなっています。極限までチップを小さくしたことで2009年の平均的なCPUの1000億倍ものマイニングのパワーがあるとの試算もあります。
ウォレット
マイニングプールで得られた報酬を保管するウォレットを用意しておく必要があります。
必ずしも専用のウォレットである必要はなく、暗号資産交換業者内にあるウォレットでも問題ありません。
マイニングソフト
マイニングプールを行う事業者から専用のマイニングソフトが提供されており、それをインストールすることで参加できます。
マイニングプールの選び方
マイニングプールの選び方として、以下の4つの視点から参加するプールを選ぶと良いでしょう。
- 日本語に対応しているか
- サーバーは安定しているか
- 運営実績はあるか
- 報酬は赤字にならないか
日本語に対応しているか
マイニングプールにおいて、シェア率の高いプールは中国企業のものが多いですが、国外のマイニングプールに参加する際はサポートなど含めて日本語に対応しているかどうかを判断基準のひとつにすると良いでしょう。
日本語に対応しており、日本人コミュニティが盛んなプールでは情報も得られやすくなります。
サーバーは安定しているか
マイニングプールではメインサーバーでさまざまな処理を行うため、サーバーが安定しているかどうかも重要な判断基準となります。
仮に運営途中でサーバーがダウンしてしまうと、マイニングがストップしてしまうばかりか、報酬として得たビットコインの取引ができなくなってしまう可能性もあります。
マイニングプールに参加する前に、直近でサーバーダウンなどのトラブルがなかったかどうか確認すると良いでしょう。
運営実績はあるか
基本的に、シェア率の高いところであれば問題ないと言えますが、これまでの運営実績があるかどうかも判断基準として大切なところです。
マイニングシェアが高ければそれだけ報酬が得られやすいですが、これまでに配当が正しく分配されているかの確認は怠らないようにしましょう。
報酬は赤字にならないか
そもそもの問題とも言えますが、マイニングプールに参加して、報酬を得た結果赤字にならないかどうかを判断基準にしましょう。
マイニングプールでは自分のパソコンをマイニングに参加させるため、電気代がかかります。得られる報酬より電気代が高くなるようであればマイニングプールに参加する意味がありません。
特に、シェア率の高いマイニングプールであれば、ここで紹介した他の3つの判断基準を満たす可能性が高いですが、こうしたシェア率の高いマイニングプールではパソコンの性能が高くないと充分な報酬を得ることができません。
自分の手持ちのパソコンに合わせて、参加するマイニングプールを決めるようにしましょう。
クラウドマイニングという方法
マイニングプールに参加するもうひとつの方法として、クラウドマイニングがあります。クラウドマイニングでは、自分のパソコンをマイニングに直接参加させるのではなく、マイニングプールなど、マイニングを行なっているサービスプロバイダに投資することで間接的にマイニングに参加します。パソコンを買う必要も、電気代を支払う必要もなく、マイニングの報酬を受け取ることができます。
ただし、クラウドマイニングでは一般的なマイニングプールよりも報酬が低くなります。
まとめ
ビットコインのマイニングは競争が激しく、現在では個人がソロマイニングでマイニングを成功させることは不可能に近く、マイナーのほぼすべての人がマイニングプールに参加しています。マイニングプールへの参加は簡単にできるため、学生や主婦、サラリーマンであってもマイニングできるのも特徴です。
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の仕組みを知る上で、マイニングについての知識は欠かせません。
暗号資産の将来価値を予想するためにも、マイニングプールやマイニングに関する知識をしっかり身につけておくと良いでしょう。
ビットコインのマイニングについて、詳しく知りたい方は「ビットコインのマイニング(採掘)とは? 個人でのやり方や仕組みを解説」もご参照ください。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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