暗号資産のデイトレード入門

ビットコイン
デイトレード
2024-09-28 更新

投資に興味のある方であれば「デイトレード」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
FX等で円やドルなどの法定通貨を取引しデイトレードで利益を出すのと同じように、暗号資産もデイトレードで利益を出すことが可能です。

本記事では、暗号資産のデイトレードについて詳しくご紹介します。

デイトレードとは?

デイトレードはその名の通り、基本的に翌日に取引を持ち越さず、1日の間にトレードを繰り返す投資スタイルのことです。

そのため、2週間程度のスパンで投資するスイングトレードや、数年単位で保有する長期保有(ポジショントレード)のような投資スタイルとは大きく異なります。

また、数分数秒単位で細かく利益を積み上げる「スキャルピング」と呼ばれる手法はデイトレードと区別されることが多いです。

上記で挙げたスタイルにはそれぞれ特徴があります。長期で保有するスタイルだと、投資対象の金融商品が持つ本質的価値(株で例えると、企業財務状況や成長戦略など)に基づいた判断が重要になる一方で、デイトレードではチャートの形状やファンダメンタルで売買タイミングを見極め判断することが重要です。

デイトレードに適した金融商品の要素

デイトレードに適した金融商品は、「値動き(ボラティリティ)が大きい金融商品」と、「出来高が多い金融商品」の2つの要素が重要です。

デイトレードは1日で取引を完結させる投資手法であるため、値動きが大きいとその分売買のタイミングが増え、投資機会も増加します。

出来高に関しては、市場の需給バランスに影響されるため、必ずしも大きな価格変動が起こるわけではありません。それでも、出来高が多い金融商品は取引の流動性が高く、希望する価格での取引が成立しやすくなるため、出来高が多いことは取引を円滑に行うための重要な要素となります。

暗号資産とデイトレード

それでは、暗号資産はデイトレードに向いているのでしょうか?

暗号資産はデイトレードに向いている?

まずは、暗号資産の代名詞であるビットコインで考えてみましょう。

ビットコインはかつて、「出来高が多い金融商品」と、「値動き(ボラティリティ)が大きい金融商品」の両方に当てはまっていました。

しかし、2023年以降、ビットコインの市場参加者が増加したことにより、出来高こそ多いものの、デイトレードで最も重要な値動きが縮まりつつあります。

実際、アメリカの主要な株式指数の一つであるS&P500の構成銘柄ですら、ビットコインよりも値動きが大きいものが多数存在します。

さらに、2024年1月には米国にてビットコイン現物ETFが承認されたことにより、この状況は今後も続くことが予想されます。

そのため、2024年7月現在、ビットコインでデイトレードを行うには、もう少しボラティリティが拡大したタイミングまで待つ必要がありそうです。

一方で、デイトレードに向いた暗号資産も数多く存在します。

特に、ドージコイン(DOGE)やシバイヌ(SHIB)のようなミームコインは、特定のイベントやブームが発生すると激しく価格を変動させることがあるため、「出来高」、「ボラティリティ」のどちらの面でも適していると考えられそうです。

暗号資産のデイトレードとレバレッジ

個人のスタイルやリスク許容度によるものの、デイトレードではレバレッジ取引を行うと、資金効率が良くなります。レバレッジには「てこ」という意味があり、レバレッジ取引では実際に預けた金額よりも大きな規模で取引を行うことができます。

2024年7月現在、日本国内のルールでは最大2倍のレバレッジをかけて取引することができます。
つまり、1000万円入金すれば2000万円分の取引が可能になるということです。

例えば、1BTC=1000万円の状況で、1BTCを購入した場合を見てみましょう。購入後、1BTCの価格が2000万円に値上がりした場合、通常は1000万円の利益となります。

一方で、レバレッジ取引では1000万円を元手に2BTC分を購入できるため、1BTCが2000万円になった場合、2000万円の利益となります。

反対に、1BTCが500万円に値下がりした場合、現物取引だと500万円の損失ですが、レバレッジ取引だと1000万円の損失となります。

レバレッジ取引を利用する際は、自分の資本を上回る損失が発生する可能性があるため、適切な損切りラインを設定するなど慎重な運用が求められます。

また、スプレッドや手数料、ファンダメンタルなどの要素も絡み合うため、デイトレードは上級者向きの取引手法であるといえるでしょう。

デイトレードか長期保有か

暗号資産の投資は、デイトレードと長期保有のどちらが良いのでしょうか。デイトレードと長期保有のメリットとデメリットを紹介します。

デイトレード、長期保有ともにメリット・デメリットを理解し、その時々に応じて自分に合った投資スタイルを見つけ出しましょう。

暗号資産のデイトレードによるメリットとデメリット

メリット

•24時間365日取引可能
常に開いている暗号資産市場の特徴を最大限に活かすことができます。
•短期間での利益を期待
価格変動を活かして短期間で利益を狙うことができます。
•市場の動向に迅速に対応
市場のトレンドやニュースに即座に反応して取引することができます。

デメリット

•ボラティリティの高さ
要人の発言や、イベント等で急に価格が大きく動き思わぬ損失を被ることがあります。
•手数料(スプレッド)の累積
頻繁な取引を行うため、手数料やスプレッドが累積しやすいです。
•時間と集中力:
場の動向を常に監視し、迅速な対応が求められます。

暗号資産の長期保有によるメリットとデメリット

長期保有のメリット

•取引頻度の少なさ
一度購入すれば、頻繁に取引を行う必要がありません。
•長期的な成長を期待
特にビットコインは、2009年の初期発行以来、長期的には右肩上がりで成長しており、長期的な可能性があると考えられています。
•取引コストの軽減
取引頻度が少ないため、手数料の影響が少なくなります。

長期保有のデメリット

•価格変動の不確定性
長期的な価格変動を予測するのは難しく、市場の動向によっては大きな損失を被ることもあります。
•ファンダメンタル分析の難しさ
暗号資産は、政府や企業の業績に直接連動していないため、従来の株式やFXのようなファンダメンタル分析とは異なる部分があります。株式投資では、株価に影響を及ぼしやすいマクロ(世界やその国)の経済環境や個別企業の業績・財務に対する評価が重要になります。

一方、暗号資産では、マクロ経済の動向に加え、暗号資産に対する規制にも影響を受けることがあります。大口投資家の売買や著名人の発言によっても価格の変動が起こることがあります。さらに、ビットコインの半減期、暗号資産のバーン(焼却)と暗号資産独自の内的要因など、幅広いデータ情報を考慮しなければならない点が、暗号資産におけるファンダメンタル分析の難しさといえるでしょう。

ファンダメンタル分析のみではなく、他のテクニカル分析方法と組み合わせ、暗号資産(仮想通貨)の技術面のアップデート動向やグローバルな経済情勢などを基に、価格が動いた背景を理解し判断することが重要です。

関連コラム:
暗号資産(仮想通貨)のファンダメンタルズ分析、テクニカル分析とは?

その他の金融商品との比較

株式投資やFXのデイトレードと、ビットコインのデイトレードを比較するとどういった点で異なるのでしょうか?

FXとデイトレードの比較

暗号資産と比較して、FX(外国為替証拠金取引)の価格変動は比較的安定しており、一日の価格変動が小さいことが多いです。そのため、FX取引では一般的に数十倍のレバレッジを利用して利益を狙います。

しかし、2024年になり円安が進んだ結果、1日に1~3円価格が動くことが増え、一概に変動が安定しているとはいえない状況も出ています。当然ですが、FXは為替の動きを予想し利益を得るため、円安円高は利益・損失に直結します。FXでは、1~2%程度の価格変動であっても数十倍のレバレッジをかける場合、損失が大きくなる可能性があるため、為替の仕組みを十分に理解して投資することが必要です。

一方で、暗号資産は価格変動が激しく、短期間で大きな利益や損失を生む可能性があります。前述したドージコイン(DOGE)やシバイヌ(SHIB)のようなミームコインに限らず、一日に10%以上も価格が変動することもあるため、FXとは大きな差があるといえるでしょう。

さらに、ニュースに対する反応も異なります。FXでは、経済指標の発表や災害のニュースが報道された場合に、価格が大きく変動することがありますが、それでも価格変動率でみると10%未満にとどまることが多く、発生頻度も多くはありません。過去に、震災が起きた際には、円相場が82円から76円と6円も円高になったこともありますが、このようなケースは稀だといえるでしょう。

一方暗号資産では、ニュースの影響を敏感に受けやすく、100%以上もの価格変動を引き起こすことが頻繁にあります。暗号資産では、イーロン・マスク氏がX(旧Twitter)にてDOGEに言及するなど、著名人の発言で価格に大きな影響を与えることがあります。

株式投資のデイトレードとの比較

株式投資の場合、国内株式であれば4000を超える銘柄から投資先を選ぶことができます。銘柄数の多さはリスク分散の観点からも重要です。株式市場では一つの銘柄の調子が悪い場合でも、他の多くの銘柄への分散投資が可能です。

一方、国内の取引所で取り扱いのある暗号資産は、2024年7月時点で約95種にとどまります。ビットコインのボラティリティが低下している現状、選択肢が限られるという欠点もあります。

まとめ

デイトレードには、24時間取引可能で短期間での利益を狙うことができる一方、価格変動リスクが高く、手数料が累積しやすいというデメリットがあります。

レバレッジ取引は、レバレッジ効果(てこの作用)により比較的少額の証拠金を差し入れることで、証拠金の2倍までの金額による取引が可能となっています。このため、少額の証拠金によりわずかな価格の変動で大きな利益を得ることが可能ですが、反対に、証拠金を超える大きな損失を被る可能性もあります。
また、レバレッジ取引は現物暗号資産を証拠金取引の証拠金として利用可能となっています。このため、現物暗号資産と同じ暗号資産を証拠金取引で買いのポジションを保有した場合、市場の下落局面では現物暗号資産の下落に加え証拠金取引の評価損も発生し、想定以上の損失を被る可能性があります。

さらに、暗号資産のデイトレードを行う場合、暗号資産はニュースの影響を敏感に受けやすく、大幅な価格変動を引き起こすことがあり、暗号資産は選択肢が限られているということを念頭に置くと良いでしょう。

これらの違いを理解し、自分の投資スタイルやリスク許容度に応じて、適切な投資選択をすることが重要です。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

関連記事

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン